スポーツ・インサイドアウトBACK NUMBER
春の椿事とロケット・スタート。
~MLB開幕直後の珍プレー好プレー~
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph byGetty Images
posted2014/04/12 10:40
「第5の外野手」扱いでスタメンを外れることも珍しくないイチローだが、それでも彼の疾走は続く。
6打数6安打、という大リーグ66人目の快挙も。
ブラックメンは有名選手ではない。綴りを見てブラックモンと発音する人もいるくらいだ。大リーグ昇格は2011年で、昨年は82試合に出場して246打数76安打(3割9厘)の成績だった。3年間通算では457打数133安打の2割9分1厘。
そんな27歳の若手が、開幕早々大爆発を見せた。右中間二塁打、右前シングル、右中間本塁打、左翼線二塁打、右前シングル、左翼線二塁打のつるべ打ち。サイクルヒットこそ逃したものの、6打数6安打は大リーグ史上66人目の快挙だ。
記憶に新しいところでは、2013年7月にアレックス・リオス(ホワイトソックス)がこの記録を達成している(5月にはジーン・セグラが7打数6安打)。少し前だと、'09年8月のエイドリアン・ゴンザレス(パドレス)や同年4月のイアン・キンズラー(レンジャーズ)を思い出すが、ロッキーズでこれをやってのけたのは、'95年7月のアンドレス・ガララーガが最後だった。要するに、めったに見られるシーンではない。
ロケット・スタートを切った多くの選手たち。
ロケット・スタートを切った選手は、ほかにもいる。昨年、ファンの期待を裏切ったジョシュ・ハミルトン(エンジェルス)は、7試合で24打数12安打、2本塁打。ヴェテランのチェイス・アトリー(フィリーズ)も、6試合で24打数11安打、2本塁打。長期大型契約で話題を呼んだ新星フレディ・フリーマン(ブレーヴス)が、6試合で19打数8安打、2本塁打。さらには、昨年ナ・リーグ新人王に輝いたホゼ・フェルナンデス(マーリンズ)が2勝0敗、防御率0.71、奪三振17の快投を見せている。
もちろん、野球のシーズンは長丁場だ。2013年も、開幕直後に打ちまくったアダム・ジョーンズ(オリオールズ)やホゼ・イグレシアス(レッドソックス)が、最後は意外に物足りない結果に終わっている。ただ、フリーマンやJ・フェルナンデスには、竜頭蛇尾という言葉は当てはまらないのではないか。彼らにはむしろ、今季の大化けを期待してもかまわないような気がする。