MLB東奔西走BACK NUMBER
本拠地デビューに空席が目立った訳。
田中将大への地元ファンの厳しい目。
text by
菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi
photograph byGetty Images
posted2014/04/11 11:00
平日のナイターとはいえ、空席が目立つヤンキー・スタジアム。田中将大は自らの右腕で地元のファンの心を掴むことができるのか。
かなり衝撃だった。
3万9412人――。
立ち見を含めれば5万2000人以上を収容できるヤンキー・スタジアムで、本拠地初登板に臨んだ田中将大投手の投球を、直に見るために集まったファンの数だ。
如何に日本のメディアが「ファンから大歓声を受けた」と報道しようとも、画面に映し出される空席が目立つ観客席の様子は隠しようがなかった。
これまで、鳴り物入りでメジャー入りした松坂大輔投手やダルビッシュ有投手の本拠地初登板は、満員のファンで溢れ異常な盛り上がりを見せていたものだ。ヤンキースへの入団が決まって以来、日本ばかりでなく米国メディアも大々的に田中について報じ続けてきたが、どうやら地元ファンとの温度差が浮き彫りになってしまった形だ。
そして、この日の田中の投球をファンはどう受け止めたのだろうか……。
10三振とは裏腹に、苦労しながらの投球だった。
結果だけ見れば、この日も7回を投げ7安打3失点10三振1四球と、走者を許しながらも2回の3ラン本塁打の失点だけに防いだ粘りの投球だった。球数も101球と、前回同様及第点以上の投球といえる。
だが、5日前のトロント戦は後半に入り見違えるような安定感ある投球を披露していたのに対し、今回は端から見る限り、7回以外かなり苦労しながらの投球だった(4、6回も3者凡退に抑えていたが、6回は打ち取ったというより好捕に助けられた感が強かったし、4回も試行錯誤していたように思う)。特に本塁打を打たれて以降、走者をおいた場面では投球間にかなり時間をかけておりテンポも良くなかった。10三振とは裏腹に、決して相手を圧倒したようには見えなかった。
ブルージェイズ戦もそうだが、今回の本塁打も田中の失投だった。だがその一方で、この日打たれた7安打のうち5本は決して甘い球ではなく、ほぼ捕手の要求通りに投げられていたボールだった。