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世界フィギュアの収益は20億円以上!?
5日間で、J1クラブ1年分のお値段に。
text by
並木裕太Yuta Namiki
photograph byAsami Enomoto
posted2014/04/04 10:30
男子では羽生結弦、女子では浅田真央が優勝した世界フィギュア。現在の人気を将来へつなげるために、今が最大のチャンスであることは間違いない。
高額なスポンサー料も、実は「お得」?
次に、スポンサー収入について考えます。
今大会の公式スポンサーは14社。一大会単位の契約とは限らず、「複数年」「他の大会との抱き合わせ」など様々な契約形態があるため確度の高い算出は困難ですが、1社あたり5000万~1億円のスポンサー料と推定されます。
これは一見非常に高いと思われるかもしれませんが、考えようによっては「お得」でもあります。30秒のCM枠を確保できる番組提供スポンサーになった場合の広告費は、推定で約1000万円以上。しかし、公式スポンサーとしてリンクの周囲に看板を出すと、試合中継やニュース番組でかなりの露出につながるうえ、優勝選手の背景にうまく映り込めば、新聞各紙の一面やYahoo!等のポータルサイトのトップ記事としての露出も狙えます。もちろん、大会HPにロゴが載り、自社の様々な宣伝活動への活用も可能です。
仮に1社あたり7500万円として、14社合計のスポンサーシップは10億円前後。誤差を考慮し、「8~12億円」に達するものと考えます。
J1クラブの年間収益を5日間で叩き出した。
3つ目は、放映権です。
世界フィギュアは、日本では2005年からフジテレビが独占放送しています。全日本選手権も独占放送するフジテレビがこの10年間に費やした放映権料は総額100億円を超えるという報道もあるほどですが、今年の世界フィギュアの放映権は「2億~2億5000万円」ほどと見られます(今回の試算では除外しますが、実際には日本以外の国での放映権料も収益となります)。
チケット(10億円)、スポンサー(8~12億円)、放映権(2~2.5億円)の合計額は約20~25億円となります。これだけのお金が、1つの大会、たった5日間で動いたわけです。
この20~25億円という金額を評価するために、Jリーグのクラブと比較してみましょう。
2012年度、J1クラブの年間営業収益の平均は31億5200万円でした。言うまでもなく、20試合以上の興行を開催した結果の数値です。しかもこの数字には、例えばガンバ大阪にとってのパナソニックのような「責任企業」による多額の広告費が含まれています。その額は一部のクラブで約10億円とも言われており、そうした収入を除くと世界フィギュア(1大会)とJ1クラブ(年間)の収益力は同等という見方もできるかもしれません。