ソチ五輪における各国のメダル報奨金について、国際スポーツ記者協会が調査結果を発表した。金額は米ドル表示で出ているため、別表では1ドル100円で換算している。この表における報奨金とは、原則としてその国のオリンピック委員会、日本なら日本オリンピック委員会(JOC)が出しているものだ。したがって、その財源は国によってさまざま。国の税金から補助金として受け取ったお金かも知れないし、独自に企業から集めたお金かも知れない。
また、中国のように報奨金を公表していない国もある。別表の国が、ソチ五輪のメダリストに報奨金を出している国、すべてというわけではない。そもそも報奨金を出していない国もある。英国、ノルウェー、スウェーデン、クロアチアなどだ。こういった前提を理解した上で、別表のランキングを見てみよう。
金メダル有力国で1000万円を超えたのはロシアだけ。
●ソチ五輪・メダル報奨金ランキング
(1)カザフスタン |
金
銀
銅 |
2500万円
1500万円
750万円 |
0
0
1 |
|
|
(2)ラトビア |
金
銀
銅 |
1920万円
950万円
700万円 |
0
2
2 |
|
|
(3)イタリア |
金
銀
銅 |
1910万円
1020万円
680万円 |
0
2
6 |
|
(4)ウクライナ |
金
銀
銅 |
1500万円
750万円
500万円 |
1
0
1 |
|
|
(5)ロシア |
金
銀
銅 |
1130万円
710万円
480万円 |
13
11
9 |
|
|
(6)チェコ |
金
銀
銅 |
750万円
380万円
230万円 |
2
4
2 |
|
(7)スロバキア |
金
銀
銅 |
610万円
470万円
350万円 |
1
0
0 |
|
|
(8)韓国 |
金
銀
銅 |
560万円
280万円
170万円 |
3
3
2 |
|
|
(9)スイス |
金
銀
銅 |
450万円
未公表
未公表 |
6
3
2 |
|
(10)フィンランド |
金
銀
銅 |
410万円
200万円
130万円 |
1
3
1 |
|
|
(10)オランダ |
金
銀
銅 |
410万円
310万円
210万円 |
8
7
9 |
|
|
(12)日本 |
金
銀
銅 |
300万円
200万円
100万円 |
1
4
3 |
|
(13)ポーランド |
金
銀
銅 |
290万円
260万円
160万円 |
4
1
1 |
|
|
(14)スロベニア |
金
銀
銅 |
270万円
240万円
210万円 |
2
2
4 |
|
|
(14)ドイツ |
金
銀
銅 |
270万円
210万円
150万円 |
8
6
5 |
|
(16)米国 |
金
銀
銅 |
250万円
150万円
100万円 |
9
7
12 |
|
|
(17)オーストリア |
金
銀
銅 |
220万円
170万円
140万円 |
4
8
5 |
|
|
(18)カナダ |
金
銀
銅 |
180万円
140万円
90万円 |
10
10
5 |
|
※米ドルの表示を1ドル=100円で換算。金額の横の数字はメダル獲得数。金メダル報奨金の金額で順位づけ。
ランキングは、金メダルの報奨金で順位付けしている。最も高かったのは、ちょっと意外な印象だが、カザフスタンだった。金メダルの報奨金がなんと2500万円。カザフスタンではタクシーの初乗りが300円程度、バスの料金は30円程度ということだから、日本より物価はずっと安いわけで、2500万円はたいへんな金額だ。
しかし、カザフスタンは冬季競技の強豪国ではなく、ソチ五輪で獲得したメダルは男子フィギュアスケート、デニス・テンの銅メダルだけだった。4年前のバンクーバー五輪でもロシア出身の女子バイアスロン選手が獲得した銀メダルひとつだけだった。金メダルの報奨金がずば抜けて高いのは、実際のところ金メダルを獲れる可能性があまりないから、という面もあるかも知れない。
そういった事情は、2番目の高額報奨金となっているラトビアも同じだ。金メダルには1920万円が出ることになっているものの、ソチ(銀2、銅2)でもバンクーバー(銀2)でも金メダルはゼロ。3番目のイタリアも1910万円という報奨金だが、やはりソチで金メダルはなかった。
大会前から複数の金メダルが有力とされていた国で、1000万円を超える高額報奨金が設定されていたのは開催国のロシアだけだ。財源も考えると、高い報奨金というのは、それほど多くのメダルを獲得しない国のもの、と言っていいかも知れない。
【次ページ】 チームスポーツの強い国で報奨金を高くしたら……。