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「無観客」の経済損失は約3億円!
浦和の年間利益を超す、その内訳は? 

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並木裕太

並木裕太Yuta Namiki

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photograph byKenzaburo Matsuoka/AFLO

posted2014/03/28 16:30

「無観客」の経済損失は約3億円!浦和の年間利益を超す、その内訳は?<Number Web> photograph by Kenzaburo Matsuoka/AFLO

いつもは熱狂に包まれる埼玉スタジアムに、この日は選手の声とボールを蹴る音だけが響いた。

浦和の年間利益が軽く吹き飛ぶインパクトがあった。

 つまり、第1と第2のインパクト、合計しておよそ2億円が無観客試合による浦和への直接的なダメージの総額となり、第3のインパクトを足した2.5億~3億円がスタジアム外を含めた全体の経済的ダメージとなるわけです。これは逆説的には「Jリーグ1試合のお値段」と言える金額なのかもしれません。

 それにしても、たった1試合の無観客試合には、浦和の年間利益1億5000万円(2012年度)が軽く吹き飛ぶほどのインパクトがあったことになります。差別問題に対する毅然とした対応を見せるためとはいえ、これだけの処分をクラブに科すことはJリーグにとっても重い決断だったと察します。

 昨年の浦和サポーターによる暴行事件では処分決定までに3カ月近くを要したことを考えると、今回の問題とは事件性の違いがあるにしても、新チェアマンに就任したばかりの村井満さんが下した決断は実にスピーディーでした。不祥事への対応は「いかにマイナスを極小化するか」という、いわば組織のディフェンスです。今回の迅速かつ厳しい処分によって、Jリーグの“守備力”が高まっていることが結果的に示された形になったのではないでしょうか。

“荒療治”を施されたJリーグが健全に発展することを願うと同時に、村井チェアマンのリーダーシップがこれからはリーグ全体の収益向上など“攻め”の面でも発揮されることを大いに期待したいと思います。

(構成:日比野恭三)

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