フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
佐藤信夫コーチに「最高の恩返し」。
浅田3度目の世界王者までの4年間。
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byAsami Enomoto
posted2014/03/30 11:15
フリーでわずかなミスがあったが、自己最高の216.69点で優勝した浅田。今後の去就については「じっくり考えたいと思います」とコメントした。
鈴木明子、現役生活最後の演技。
鈴木明子は、SP「愛の賛歌」で感動的な滑りを見せて71.02という高得点で4位スタートだった。だがフリー「オペラ座の怪人」では最初のルッツが2回転になるなど、いくつかジャンプの回転不足が出た。
それでも最後まで崩れることなく全体を彼女らしくまとめ、爽やかな表情で満場のスタンディングオベーションに応えた。最後はリンクに向かって深々とお辞儀をして、現役生活最後の氷を後にした。
予想よりも得点は低かった。フリー122.70、総合193.72で、この時点で表彰台は厳しいことがわかった。だがそれでも鈴木は納得したように頷き、澄みきった表情が陰ることはなかった。
「自分が望んでいたような演技ではなかったので、悔しいところはあります。でも人生というのは、こんなものなのかもしれないなというのも学ばせてもらった。競技はこれで終わりかもしれませんが、今後の人生にこの経験を活かしていけるのではと思っています」
大会中に誕生日を迎え、SPは28歳で、フリーは29歳で滑った。
「よくここまで滑りきってくれた、と思います」と12年間彼女を見守り、指導してきた長久保裕コーチは、目元をうるませた。
リプニツカヤ2位、コストナー3位、村上10位。
2位には6度の3回転を成功させたロシアの15歳、ユリア・リプニツカヤがつけ、3位にはジャンプミスはあったものの大人っぽい表現力で観客を魅了したカロリナ・コストナーが入った。村上佳菜子はジャンプの回転不足が重なり、今回は総合10位だった。