プレミアリーグの時間BACK NUMBER
“しごき魔”マガトがフルアムの監督に。
「降格の本命が5チーム」の大混戦。
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byAFLO
posted2014/02/20 16:30
バイエルンで2度、ヴォルフスブルクで1度のブンデスリーガ制覇を経験しているマガト監督。ドイツ国外での指導は本人にとっても初めて。
サンダーランドでは監督交代がプラスの効果を?
サンダーランドとスウォンジーは、新監督の手に運命を委ねた。開幕2カ月目に決断したサンダーランドに関しては、選手との間に軋轢が生じていたパオロ・ディカーニオから、グスタボ・ポジェへの監督交代が成果を生み始めている。好転の代表例はウィンガーのアダム・ジョンソン。1月のリーグ戦では3試合で5ゴール2アシストと、チームの全7得点に絡んでいる。大事な終盤戦を前に、得点能力の高い切込み役の本領発揮は心強い。
スウォンジーでも、昨夏に加入したコートジボワール代表FWウィルフリード・ボニーが、年明け1カ月半の全9試合で7得点と期待された決定力を見せ始めた。昨季プレミアで18得点のミゲル・ミチュも、2月中には昨年12月に手術した足首が完治の見込み。名のあるミカエル・ラウドルップが解雇され、キャプテンのギャリー・モンクが暫定指揮を執る体制には疑問が残るが、ヨーロッパリーグと二足の草鞋を履くにしても、昨季と同じ中位につける戦力はあると見る。
ハルは、今季昇格組ながらも、開幕から半年間をほぼ10位前後で過ごしてきた。第26節を終えて20チーム中ワースト4位タイの得点力には、今冬にニキチャ・イェラビッチとシェイン・ロングの獲得という改善策が講じられた。クロアチア代表FWとアイルランド代表FWは、1月末からコンビを結成。2トップでの先発3試合目に各1ゴールと、まずまずのスタートを切った。
“降格の本命”5チームが押し付けあう“ボトム3”。
そして、フルアムを含む“降格の本命”5チームは、“ボトム3”という2部行きの貧乏くじを引かされまいとして、最後までもがき続けることになりそうだ。微々たる差だが、最も希望が持てるのはウェストブロムウィッチ。1月にエバートンからの1ポイント奪取でスタートしたペペ・メル新体制下では、リバプール戦とチェルシー戦でも1-1の引分けを繰り返し、立ち直りの兆しを見せている。勝ち星の少なさはスティーブ・クラーク前監督の解雇前と同様だが、そもそもチームの戦力は4年前のプレミア復帰以降で最高レベルのはずなのだ。
ノリッチは、12月半ばから丸1カ月間も勝ち星に見放された。2月にはマンチェスター・シティ戦で殊勲のスコアレスドローを演じたが、その前後、残留争いのライバルであるカーディフとウェストハムに敗れていては、優勝候補から奪った1ポイントも意義が薄い。最後のひと月はリバプール、マンチェスター・ユナイテッド、チェルシー、アーセナルと続く勝ち目のない4連戦。クラブ経営陣は、ここに来てクリス・ヒュートン監督の更迭を仄めかし始めたが、手遅れの感は否めない。