プレミアリーグの時間BACK NUMBER
“しごき魔”マガトがフルアムの監督に。
「降格の本命が5チーム」の大混戦。
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byAFLO
posted2014/02/20 16:30
バイエルンで2度、ヴォルフスブルクで1度のブンデスリーガ制覇を経験しているマガト監督。ドイツ国外での指導は本人にとっても初めて。
幾多の降格回避実績を持ち、短期戦に強い面も。
だがマガトには、短期間で成果を出せるという特長もある。「残留は実現できる」と当人が豪語しているように、ニュルンベルク、ブレーメン、フランクルフルト、シュトゥットガルトと、母国ブンデスリーガでは複数の降格回避実績を持つ。
フルアムには、SBのサシャ・リーター、MFのアシュカン・デヤガ、そして1月にトッテナムからレンタル移籍したMFルイス・ホルトビーと、新監督の指導を知る主力もいる。外野では「軍隊式」と敬遠されても、チームの守備に統制が戻り、降格回避へと集団の足並みが揃う可能性はある。
2月半ばの時点で、10位から降格圏までの距離が僅か4ポイントという大混戦も、フルアムにとっては心の支えだ。中位以下の11チームから、誰が降格の運命を辿っても不思議ではない。敢えて「残留候補」を挙げるとすれば、ウェストハム、ストーク、アストン・ビラ、サンダーランド、スウォンジー、ハルの6チームになるだろうか。
ウェストハムのサム・アラダイスは、言ってみれば残留争いで輝く指揮官だ。形振り構わずにポイントを奪うスタイルをチームに徹底させることができる。
最たる例が、敵地でスコアレスドローに持ち込んだ1月末のチェルシー戦。相手監督のジョゼ・モウリーニョには「我々しかプレーしていなかった」と極端な守備重視を非難された。しかし、狙い通りに1ポイントをもぎとったアラダイスは、「屁とも思わん」と言って豪快に笑ったのだった。
ストークは手堅く、アストン・ビラには実績が。
ストークは、今季から指揮を執るマーク・ヒューズが「攻撃色」を強めようとしている。その反動で自慢の「堅守色」が弱まっているが、ホームでの手強さは従来と変わっていない。大詰めのラスト1カ月間での5試合のうち、3試合は今季2敗のみのブリタニア・スタジアムで行なわれる。
アストン・ビラには、ポール・ランバート監督の下で昨季のサバイバル実績がある。後半戦突入時点では避け難いと思われた降格を、2月以降はビッグクラブ以外との対戦を無敗で終えて回避したのだ。