フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
19歳、金メダルは新たなスタート!
羽生結弦、日本男子初の五輪王者。
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byShinya Mano/JMPA
posted2014/02/15 13:00
「緊張しました。すみません」と演技後に漏らした羽生だが、表彰台ではさわやかな笑顔を見せてくれた。銀メダルのパトリック・チャン(左)、銅メダルのデニス・テン(右)と共に。
SP9位から追い上げたデニス・テンの銅メダル。
SP9位から総合3位に上がって銅メダルを獲得したのは、カザフスタンのデニス・テンだった。昨年の世界選手権で2位になり、チャンをもうあと一歩というところまで追いつめた選手である。今シーズンは負傷と靴の調整で苦労してずっと不調だったが、最後の大舞台ではフリーで見事に逆転を果たし、表彰台に食い込んだ。
「このメダルはぼくから国への贈り物。多くの障害を乗り越えて手に入れたものだから、本当に嬉しくて言葉になりません」
転倒、両足着氷……全体的に不調だった男子フリー。
男子フリーは、全体的に不完全燃焼の演技が続いた。これこそが、やはり五輪に棲むと言われる魔だったのだろうか。
あれほど公式練習で安定していた町田樹だが、「火の鳥」の冒頭の4回転トウループで転倒してフリー4位。「自分の本来の演技が見せられなかった」と肩を落としたが、それでもSPの11位から総合5位まで挽回した。
高橋大輔は「ビートルズメドレー」の出だしで両足着氷した4回転がダウングレードになり、3アクセルが回転不足に。体調も万全とは言えない状態で、いつもの彼ほど演技の持ち味を見せきれないまま終わった。
「でも最後まであきらめずに滑った。心をこめて滑りました」
フリー164.27で6位、総合も6位という結果が出ると、大勢来ていた日本の観客たちの間から不満そうなざわめきが漏れた。だが高橋本人は、納得したようにすっきりとした表情を見せた。膝の痛みを抱えた状態で、できることは精いっぱいやったという思いがあったのだろう。
SP3位だったハビエル・フェルナンデスは2度の4回転を成功させたものの、予定していた二度目の4回転サルコウが3回転になった。その結果、最後に跳んだ2度目の3サルコウが(失敗した)4つ目のコンビネーションジャンプと見なされてノーカウントに。惜しいところでテンに逆転され、4位に終わった。