もし本田がリバプールのお墨付きをもらえたら？

　リバプールは誰をいくらで買うのか。一つだけ確かなのはジョン・ヘンリーやダミアン・コモリのお眼鏡にかなうことは、選手にとって計り知れないメリットがある点だ。声をかけられた選手は名門リバプールでプレーできるという栄誉に与るだけでなく、サッカー界において将来有望、かつ今後さらに大化けしそうな「超優良株」というお墨付きを与えてもらったのと同じになる。しかも契約第一号ともなれば、周囲に与えるインパクトは一層強くなる。

　僕がこれまでの人生で食べた料理のなかで最も不味かったのは、リバプール市内の大衆食堂で出された朝食だった。石のように堅いトースト、真っ黒な炭と化したマッシュルーム、チリチリに縮んだ脂だらけのベーコン。「金属缶」の臭いがしっかりついたビーンズ……。

　おそらく本田もリバプールで暮らすようになれば、食事の不味さにがっかりするかもしれない。仮にうまいレストランが見つかっても、あれほど街が寂れていては大好きな買い物でうさを晴らすこともできないだろう。

　だがこの1月にリバプールの一員になることには、それ以上に大きな「うまみ」と「インパクト」がある。その意味でも本田は、アンフィールドに来なければならないのだ。