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川尻達也、満を持してUFCデビュー。
堅実な勝利に隠された、緻密な野望。 

text by

橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

PROFILE

photograph bySusumu Nagao

posted2014/01/12 08:11

川尻達也、満を持してUFCデビュー。堅実な勝利に隠された、緻密な野望。<Number Web> photograph by Susumu Nagao

序盤は不安定なところもありながら、最後は実力を見せつけた川尻。一年ぶりの試合に「今回は本当に怖かった」とブログで語っている。

35歳、格闘技人生最後のチャレンジに秘めた思いとは。

 35歳、格闘技人生最大の決断にして最後のチャレンジに踏み切った川尻には、経験豊富なベテランらしさと若々しい野望が同居している。ツイッターではたびたび英語でつぶやき、海外ファン向けのアピールを欠かさない彼は、心の底からUFCファイターとしての充実感を味わっているようだ。以前は日本で試合の見通しが立たず、格闘技をやめることも考えたというが、UFC参戦と初勝利で完全に蘇生したと言っていい。

 大会後、出場選手から選出された数名が出席する記者会見に、川尻の姿もあった。Tシャツやジャージ姿の選手ばかりの中、彼だけはジャケット着用だった。会見に出席し、ボーナス三賞(ベストバウト、ベストKO、ベストサブミッション)を受賞することを見越して日本から持参していたのだ。

「もらえるものは全部もらうつもりで来ましたからね」

 そう言って笑った川尻。残念ながら受賞は逃したが、初受賞を(いずれ出場するであろう)ラスベガス大会まで待つのも悪くない。何より、UFCでのタイトル奪取やボーナス受賞を現実的な目標として掲げる日本人がいることが心強いではないか。

 新しい時代の新しい物語、そしてファンが心を一つにできる物語が、シンガポールから始まった。

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