オリンピックへの道BACK NUMBER
個々の能力差をチーム戦術で覆す!
スケート界がメダルを託すパシュート。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byPro Shots/AFLO
posted2014/01/12 08:11
今季はW杯でも好成績を残している日本チームの菊池彩花、高木菜那、田畑真紀(右から)。
集中強化の成果は、今季開幕からすぐに表れた。
大会の前に集まって臨んでいるだけでは戦えない。そのため、昨年から数度にわたり、所属チームの垣根を越えて代表候補選手たちで合同合宿を行なっている。
菊池はこう語った。
「映像や風圧などの分析をする科学班と試行錯誤しながら、練習を行ないました」
その成果は、今シーズンが開幕するとすぐに表れた。
田畑、菊池、高木で出場したワールドカップ初戦。1周ごとに先頭をかわりながら進めた日本は、スムーズな交代でペースを落とすことなく2位に入ったのだ。個人戦の1500mでは一人も一桁順位に入れなかったことも、逆にチームとしての強さを際立たせた。
続く2戦目では4位ながら、日本記録を更新。3戦目こそ、選手たちの疲労が残る中でのレースだったこともあり7位に終わったが、着実に強化が結びついてきている。
軸になるのは、5度目のオリンピック出場となる39歳の田畑真紀。チームパシュートが採用されたトリノ、そしてバンクーバーの両五輪でこの種目に出場している。代表選考会でも見せたように、緊張が高まる中でも落ち着いて力を出せるのが特徴だ。ソチのチームパシュートのメンバーの中では唯一オリンピックの経験者でもあるだけに、精神的な支柱としての期待もかかる。
その田畑は、ワールドカップ転戦中、こうコメントしている。
「同じ合宿でやってきた仲間なので、私がまとめなくても気持ちは一つになっています」
トーナメントで行なわれるソチでは、ワールドカップ3大会すべてで優勝したオランダが本命となるだろう。さらに手ごわい相手も少なくない。
厳しい戦いが予想されるが、チームとしてのまとまりで、2大会連続のメダルを目指し、勝負を挑む。