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村上と鈴木の抱擁、織田の激励……。
ライバルというより、チームとして。 

text by

松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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photograph byAsami Enomoto

posted2013/12/29 08:01

村上と鈴木の抱擁、織田の激励……。ライバルというより、チームとして。<Number Web> photograph by Asami Enomoto

ジャンプの転倒で手から流血しながらも、全力で演じきった高橋大輔。ソチ五輪代表選考会では、満場一致での選出となった。

彼らは、選ばれなかった選手の思いを背負って滑る。

 その中で、選手たちは戦い抜いた。優勝した羽生はむろん、「コンディションは最悪でした」という中でも昨年の失敗を繰り返さなかった町田、高橋の誇り(Number844号に掲載)。28歳でついに全日本選手権初優勝を飾った鈴木、コンディションはよくない中でもソチを見据えてレベルアップに励む浅田真央の姿勢、村上の渾身の滑り。

 さらには「独特の緊張感でした」と苦しんだショートから、フリーで見事に持ち直した織田、昨年からの故障の影響を時間をかけて克服し見事な滑りを見せた小塚の努力……。

 それぞれの過程を経て、大会で力を尽くした。そして、選考基準に則して日本代表は決まった。

 きっと彼らは、選ばれなかった選手の思いも背負い、ソチへと挑むだろう。いくつもの光景や言葉を思えば、そう感じずにはいられなかった。

 そういえば、大会では、名前がアナウンスされるたびに、観客席から重圧のもとで滑る選手の後押しをするように、あたたかい拍手が起きた。

 それもまた、心に残った光景であった。

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