フットボール“新語録”BACK NUMBER
「終わりよければ、すべて良しです」
久保裕也がACミラン戦から得たもの。
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byAFLO
posted2013/12/26 10:30
12月1日のバーゼル戦、久保裕也は1-2と1点ビハインドで迎えた後半23分に、利き足ではない左足で豪快な同点ゴールを決めた。
「ACミラン相手に、割とできたという感じがありました。かなり自信になりましたね」
久保裕也(BSCヤングボーイズ)
真のゴールゲッターというのは、人間関係においても自分のリズムを乱さない振る舞い方を知っているらしい。
スイスの名門・ヤングボーイズの久保裕也は、2013年夏に加入して以来、週2回のペースでドイツ語のレッスンを受けてきた。今ではサッカーのことであれば、かなり理解できるようになってきたという。とはいえ、まだチームメイトの会話でわからないときもある。通訳もおらず、普通なら異国での生活がストレスになってもおかしくないだろう。
だが、久保は違った。年内最後の試合となったザンクト・ガレン戦後、まだ19歳だったストライカーは言った(クリスマスイブに20歳になった)。
「自分がしゃべりたいときにみんなのところに行って、ばぁーっと話す。で、話したくなくなったら、みんなから離れるんです。そうしたら、『あ、あいつは今一人になりたいんだな』とわかるじゃないですか。だからチームメイトといても、まったく苦になりませんね」
コミュニケーションも駆け引きも、FWの基本は同じ。
コミュニケーションも、ゴール前の駆け引きも、FWからしたら基本は同じなのだ。自分で仕掛けて主導権を握れば、疲れない。外国人との付き合い方という点で、本田圭佑や香川真司に共通する点があるかもしれない。
すでに日々の生活でも、自分のリズムを見出していた。
「入団から2、3カ月過ぎたくらいから、慣れてきたかなあという感じです。家も見つかったし、1週間のサイクルもわかってね。スイス料理も好きですよ。ラクレット(溶かしたチーズをじゃがいもにかけて食べる料理)とかチーズフォンデュとか。結構イケます。まあ、時々みそ汁があったらなあと思うくらいでね」