ブンデスリーガ蹴球白書BACK NUMBER
細貝と長谷部が変える日本人の常識。
何故彼らはピッチ中央にいられるか。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph bypicture alliance/AFLO
posted2013/12/12 10:30
チームの中でダントツの走行距離、上位のボールタッチ、被ファール数を誇る細貝は、敵味方双方からチームの中心と認識されていることがわかる。
「我々のチームにおいて、突出した選手がハジなのだ」
「自分は、チームのためにプラスになるのであれば、右サイドもやるし左サイドもやるし、CBもやるしボランチもやると監督に話しました」
細貝はそう振り返る。
この試合の後、ヘルタのルフカイ監督は様々なメディアに対して、こう得意気に話していた。
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「ハジ(細貝のニックネーム)のプレーは素晴らしいものだった。我々のチームにおいて、突出した選手がハジなのだ」
176cmの細貝は180cm台後半の選手がゴロゴロいるブンデスリーガの舞台では、ひときわ小さく見える。にもかかわらず、これまで日本人選手がプレーするのが難しいとされてきた評価を覆し、ボランチやセンターバックとしてプレーを続けている。その首謀者たるオランダ人のルフカイ監督がしたり顔なのも当然かもしれない。
アウクスブルクとの試合の翌日、ルフカイは細貝を呼んで話をしている。
「昨日の試合、ピッチ上で最も良いプレーをしていたのがキミだった」
そして、その後にこう付け加えた。
「ただ、センターバックよりもボランチで起用出来なかったのが残念だったよ」
リーガで今季移籍した選手の中で8人だけの、満点評価。
細貝はヘルタのボランチの選手として唯一無二の存在である。ルフカイ監督は、そう伝えたかったのだ。オランダ人指揮官は細貝にそれだけの評価を与えている。
先日『キッカー』誌が、今夏に移籍した選手を対象に10点満点で採点する記事を掲載した。ヘルタの細貝の点数は10点。つまり満点の評価だ。ブンデスリーガ全体で10点をつけられたのはボルシアMGのFWクルゼなど、他に7人だけ。それほどに細貝の活躍は際立っているのだ。
体格で劣る日本人選手はヨーロッパの守備の中心となるポジションでは活躍出来ない。そんな定説は、2013-'14シーズンを境に、過去のものとなりつつあるのかもしれない。
だからこそ、次なる課題が彼らには突きつけられている。
攻守の要となるポジションの選手としてプレーする以上、チームの成績に責任を負わなければならない――。