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<欧州蹴球紀行・赤い悪魔を訪ねて> ベルギー ~サッカーと僕たちの幸福な関係~ 

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近藤篤

近藤篤Atsushi Kondo

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photograph byAtsushi Kondo

posted2013/11/11 06:00

<欧州蹴球紀行・赤い悪魔を訪ねて> ベルギー ~サッカーと僕たちの幸福な関係~<Number Web> photograph by Atsushi Kondo

人種、プレースタイル……ベルギーの絶妙な多様性。

 ブリュッセル到着の翌日、白い染みの残るブラックジーンズに足を通すと、午前11時から始まるベルギー代表の公式練習に出かけた。

 3日前、クロアチアに乗り込んだベルギーは、弱冠20歳のコンゴ系ベルギー人CF、ロメル・ルカクのスーパーゴール2発で難敵を下し、W杯出場を決めた。このルカクという選手、16歳10カ月でベルギーの1部リーグ得点王を獲得し、ドログバの再来としてここ数年ずっと注目されて来た。今現在はイングランドのエバートンでプレーしている。

 11時過ぎ、ピッチ上に代表の面々が勢揃いする。こうして眺めてみると、改めてこのベルギーチームの持つ多様性に目を奪われる。屈強でパワフルな選手、小柄で巧みな選手、コンゴ系、モロッコ系、生粋のベルギー系、スピード系、パワー系、テクニック系、これだけのバリエーションを持ち、なおかつそのバランスが前線、中盤、最終ラインで、絶妙に保たれているチームはなかなかない。

サッカーに関しては移民問題が“吉”と出ている?

 平均年齢もかなり若い。前線のキープレーヤーであるアザールとデブライネは22歳、中盤の要フェライニが25歳、ビツェルが24歳、右サイドバックのアルデルバイレルトも24歳、GKクルトワは21歳、最後の2試合に招集されたPSVで売り出し中のザカリア・バカリに至っては17歳である。その伸びしろを考えると、末恐ろしくもある。ビツェルとフェライニとバカリは同じアゴラ(草サッカー場)でボールを蹴って育ったとか、1年でFIFAランクを一気に35も上げたとか(40位から5位)、もうこれはほとんど漫画の世界だ。

 最初に書いたように、ベルギーも欧州の他国同様、外国からの合法、非合法の移民問題を抱えているが、ことサッカーに関しては、ベルギー人はむしろ移民問題に感謝しなければならないかもしれない。駅前の悪い奴はなんとかしてほしいけれど。

 2013年10月15日火曜日、W杯欧州予選グループA最終戦、ベルギーはウェールズをホームのボードワンスタジアムに迎えた。

 キックオフは夜9時、僕は早めに出かけ、スタジアム近くにあるサッカー協会の事務所に立寄り、U-16代表監督のボブさんに少し話を聞く。前日、2、3人の記者が、代表にこれだけの才能が集まったことは確かに神様の贈り物でもあるが、一方で協会は協会で、ちゃんと若手の育成をやってきたから、という意見を口にした。ベルギーの育成?

【次ページ】 ウェールズ戦前に聞いた、若手育成のコツ。

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エデン・アザール

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