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<私とラン> 角田光代 「ものすごい嫌なのに走り続ける理由」
text by
NumberDo編集部Number Do
photograph byAsami Enomoto
posted2010/12/16 06:00
走ることにくらべれば原稿なんてたやすいだろ、と(笑)。
小学校から高校まで通っていた学校が、水泳の授業に異常に力を入れていて、みんな個人メドレーをできるようになって卒業するんです。それが基礎体力になっているのかもしれません。でも、それ以降、32歳でボクシングジムに入るまでは一切身体を動かしてなくて、不摂生な生活を送っていましたから、驚きです。
ボクシングもそうなんですけど、始めたのが遅いし、人より劣っているのがわかっています。今でも「自分なんかビリなんだから」と言い聞かせて走っています。そのなかで自分のペースを守ることの大切さに気づいた。
以前は「だれそれの本が売れた」と聞くと、いいなぁと思ったり、どうすればその人みたいに書けるのか、と考えてしまっていたんですけど、走り始めて「自分は遅くてもいいんだ」と思うようになってからは、書くことも人と較べられないんだと、周りが気にならなくなって、だいぶ楽になりました。
いまでも辛かった最初の駅伝のゼッケンを仕事場に貼ってあるんですよ。あんなに辛いことがあったなら、たいていのことはできるという励みです。走るのは誰かに頼まれたことでもないし、ものすごい嫌で仕方ないのに続けている。それにくらべれば、好きで、しかも誰かに依頼されて書いている原稿なんてたやすいだろ、と(笑)。何事も嫌だと自覚することが重要ですね。
◇ ◇ ◇
◆角田光代さんへのQ&A
43歳、神奈川県出身。「幸福な遊戯」でデビュー。最新作は家族3代の人生を描いた『ツリーハウス』。
Q1 走りはじめたきっかけは?
39歳の時。友人が催していた、アフターラン飲み会に混ぜてもらいたくて。
Q2 どのくらいの頻度で走っていますか?
2回/週。土日に走ってます。週末は一切執筆しないんです。
Q3 走る日のタイムスケジュールは?
Q4 お気に入りのコースは?
近所の公園の遊歩道です。だんだんと走れる距離が長くなってきました。
Q5 走るときに聴く音楽は?
iPodでシャッフルして聴いていますが、サンボマスター、andymori、ザ・ピロウズなど日本のロックバンドの曲が好きですね。
Q6 今までのベストタイムは?
約58:00 10kmのタイム。ハーフにも出場する予定です。