サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
欧州遠征で無得点の“ジーニアス”。
それでも柿谷が絶対に必要な理由。
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byTakuya Sugiyama
posted2013/10/21 10:30
ベラルーシ戦後、攻撃陣の連係について「うまくいっている、いっていないだけじゃなくて、ただただ勝ちたかったんで、それだけです」と答えている柿谷。
「今はW杯のために試行錯誤する時期」
このように、うまくいかないことにも我慢強くトライしているのは、コンフェデレーションズ杯での経験を踏まえ、チーム全体でチャレンジしていこうと決めていることがあるからだ。
岡崎は言う。
「W杯本番では相手がどういうサッカーをしてくるか分からない。今、チームに大事なのは、選手が試合中に臨機応変にやれるようになること。W杯で勝つ確率を上げるために、いろいろトライしないといけない時期なんです」
遠藤は「日本としては、ボールを支配しながら1人、2人、3人と絡んで、どこから攻めてくるか分からないような攻撃をしたい。ベラルーシ戦ではあえて中央で回すということにもトライした」と、淡々とした口調の中にも、さらなる高みを見据えているのだという信念をにじませた。
欧州強豪との2連戦で柿谷の才能を世界に見せろ。
そして、本田は力を込めて言う。
「今はW杯用に、さらに大きなものを披露しようと組み立てている段階でもある。前と同じようにすれば得点できていたかもしれないが、新たなトライをして、それがうまくいかなかった。新しいトライをすることで、前の良さが出てないというチグハグさは若干あるが、そこは監督も選手も悲観していない。1歩2歩先へ行こうと、いろんなシミュレーションをしながら戦っている」
基本的につないで崩したい顔ぶれで構成されているのがザックジャパンだ。その中にあって、「裏を狙う」「中央からも崩す」という複数の攻撃オプションをチームが手にするため、柿谷は欠かせない。
セルビア、ベラルーシとの戦いの次は、W杯シード次点のオランダ(11月16日)、シード国のベルギー(11月19日)との対戦が待っている。
柿谷はJリーグが世界に見せつけたい才能でもある。「日本が勝つための力になりたい」ときっぱり言い切る背番号11の挑戦、そしてチーム全体の挑戦は、11月の強豪との2連戦で再び試される。