MLB東奔西走BACK NUMBER
メジャーとNPBの交流で化学変化が!
松井稼+岩村+岩隈=優勝なるか?
text by
菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi
photograph byKYODO
posted2010/12/15 10:30
11月17日に行われた入団会見で「武者震いする」とコメントした岩村明憲。新監督に星野氏を迎え、大胆な戦力補強をしている楽天は来季最大の注目チームになるだろう
ポスティング制度を利用してメジャー移籍を目指していた岩隈久志投手が、来シーズンの楽天残留を正式表明した。ロッテで日本一となった西岡剛は同じ制度で、ミネソタ・ツインズへの移籍を決めた。
ポスティングはこれまでフリーエージェント(FA)資格を得ない選手にとってメジャー移籍できる唯一の制度であったが、岩隈の楽天・残留ということで初の交渉不成立という事態を招いてしまっている。
本来ならメジャーへ移籍したい選手と、その選手獲得を願うチーム間の“相思相愛”が根底にある制度のはずだが、今回の一件で制度の限界が露呈してしまった。
西岡の成功例を挙げるまでもなく、今後もFA資格を得る前に移籍を目指す選手がいなくなることはないだろう。だからこそ、1日も早く制度改定もしくは新制度への移行を検討する必要があると思う。
メジャーからの日本球界復帰もできるようになってきた。
さて移籍が叶わずに楽天に“戻ってきた”岩隈とは違うが、日本球界に“戻ってきた”選手が2人いる。
今シーズン終了後にFAになっていた松井稼頭央、岩村明憲両選手が、相次いで楽天入りを表明し、日本球界復帰を決めたのだ。
1995年にメジャー挑戦した野茂英雄以降、しばらくはメジャー挑戦する選手たちが多少反逆者的な扱いを受けるような時期もあったように思うが、最近では日本人メジャー選手の日本球界への道は完全に開かれた(まだ田沢純一投手のようなドラフト有力選手のメジャー行きには明らかな嫌悪感が残ってはいるが……)。
今ではメジャーリーグが世界最高峰のリーグであることを疑う人も少ないだろうし、同じ野球でも日本と米国では選手の価値観が多少違っているのも周知の事実だと思う。
そうした日本にはない価値観を体感した日本人選手(外国人助っ人選手ではなく、日本人選手だということが重要)が再び日本球界に戻って来ることは非常に意義があることだと思うのだ。
なかでも、投げる、打つといった技術より、むしろファンサービスを含めたプロの野球選手としての意識は、明らかにメジャーの方が一日の長があると思う。