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ソチ五輪シーズンがいよいよ開幕!
浅田、高橋らの新プログラムを検証。
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byGetty Images
posted2013/10/07 11:25
トリプルアクセルをシーズン最初の大会から披露してきた浅田。「たくさん滑り込んできました。次につながる試合で、五輪にもつながるので」と早目の仕上がり具合を報告した。
ジャンプミスの目立った高橋大輔だが……。
一方、男子のエース、高橋大輔はジャンプのミスが重なって6人中4位というふるわない結果だった。
新フリーは、ビートルズメドレー。かなりアレンジが加えられた編曲で、タンゴ風の「カム・トゥギャザー」などは、高橋ならではの持ち味を生かしたお洒落な選択である。振付を担当したのはローリー・ニコルで、高橋とは初めての試みとなった。
「テクニカルのほうでミスが目立ってしまいました。でも演技としては気持ちよく、楽しく滑ることができました。たとえ疲れていても、楽しく滑ることができるプログラムだということを再確認しました。初披露を終えて、ほっとしています」
高い可能性を秘めた高橋の新プログラム。
4回転トウループと3アクセルという、もっとも大きなポイントを稼ぐ大技で転倒したことで、全体の流れを欠いてしまい、プログラムもうまく盛り上がらなかった。
それでも5コンポーネンツでは2項目で9点台も出て、6人中でもっとも高い点を得た。男子でコンポーネンツに9点台を出せる選手はほとんどいない。これは、このプログラムに対するジャッジからの明らかなメッセージである。もし高橋がこれをノーミスで滑りきったなら、驚くほどの高得点が出る可能性を秘めているということだ。
圧倒的な強みを誇るフェルナンデスの4回転。
男子6人中トップだったのは、トウループとサルコウの2種類の4回転を合計3度成功させたハビエル・フェルナンデス(スペイン)だった。
彼の4回転は成功率が高いだけではなく、ジャンプが大きく勢いがあるため、ジャッジから必ず加点を得て高いポイントを獲得している。このフリーでも一度の4回転でおよそ12ポイント、4回転だけで合計36ポイントも稼いでいるのだ。
スケーティングの質や表現においては、彼は高橋にも、今回2位になった小塚崇彦にも及ばない。それでもスポーツである限り、やはり現在の男子の戦いで4回転は欠かすことができない武器だ。フェルナンデスがこの3度の4回転ジャンプを持っている限り、五輪でも怖い相手になるだろう。
高橋ほどの表現力を持った選手でも、4回転なくしてはチャンピオンになりえない。それが現在の男子の現実である。その意味では、バンクーバー五輪当時とは違った戦いになってくることは間違いない。
GP大会開幕まであと2週間、いよいよ新たな戦いが始まろうとしている。