野球クロスロードBACK NUMBER
「優勝チームに名捕手あり!」
オフの選手移籍の要はやっぱり捕手。
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byToshiya Kondo/Hideki Sugiyama
posted2010/12/03 10:30
野村克也氏が現在の球界でお気に入りのキャッチャーとして名前を挙げていた細川(左)。楽天・野村監督時代に野村克則とレギュラー争いをして最終的に正捕手を勝ち取った藤井(右)
岩隈を支えた藤井は阪神若手投手陣をどう育てるのか?
野口に課せられた大きな役割のひとつに若手の育成があった。彼はそこで、自分の経験を伝えていった。
「データなどを見せながら、前の試合での投球を意識させていたと思う。前回の登板と同じシチュエーションでどんなボールが投げられるか。いい結果を出せれば成長だし、悪ければ集中力が足りない証拠。そんなことを言い続けていました」
その結果、上園啓史を新人王へ導き、岩田稔を2ケタ勝利に導くなど、阪神投手陣の底上げに多大な功績を果たした。
藤井もプロを12年も経験したベテランであるし、何より、楽天時代は岩隈という球界を代表する投手を支え続けた捕手である。今の阪神若手投手陣にとっては絶好の「生きた教材」であることは確かだ。藤井が野口のような役割を担うことができれば、それだけで十分な戦力となる。
今シーズン、日本一を逃したソフトバンクと阪神は、来シーズンへの第一歩として捕手を補強した。
両チームはそれをうまく生かせることができるのだろうか? 「扇の要の支配力」が試される。