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東京五輪ではプラスαのサービスを!
顧客満足度を上げる「おもてなし」。
text by
葛山智子Tomoko Katsurayama
photograph byAP/AFLO
posted2013/09/24 11:40
「日本語で『おもてなし』と表現します。そこには訪れる人を慈しみ、見返りを求めない深い意味があります」と日本伝統のサービス精神を説明した滝川クリステル。
臨機応変なサービスこそが「おもてなし」だ。
実は、本質機能はその属性が欠けると不満を引き起こす。そしてたとえその属性を強化したとしても、不満を起こさない状態にはできるが満足度の向上につながるものではない。一方、表層機能は少し異なる。表層機能はその属性を強化すれば、顧客の満足度を上げることができる。しかも表層機能の場合には、その機能のうち1つが卓越していれば、他の属性が悪くても全体の満足度を担保できる「代償作用」がある(ちなみに本質機能にその代表作用はない)。
そして表層サービスの中には、顧客の状況に合わせて臨機応変に対応していく必要のある部分も含まれる。そのため、スタッフ1人1人のスキル・能力・モチベーションに左右されてしまうところもある。だからこそこの感動の源泉である表層サービスの提供時こそ、我々の「おもてなし」文化というのが活かされるのかもしれない。
「おもてなし」の心で表層サービスの強化を。
本質機能の部分を確実に提供し、さらに表層サービスをどこまで提供することができるのかが、2020年東京オリンピックで我々が誇るおもてなしのポテンシャルなのではないかと思う。
そして2020年東京に集まる観客を魅了するためにも、まずは、本質サービス(本質機能)に当たるものは何で、表層サービス(表層機能)に当たるものは何かを明確に定義した上で、それぞれをどのように提供するのかの仕組みづくりが必要なのかもしれない。
おもてなしは、特に表層サービスを作りだすときに肝要なものである。人間同士が触れ合う度合が高いシーンにおいては、やはり「おもてなし」の心が光るのかもしれない。
2020年、東京で世界中の人が「おもてなし」の心を受ける日が来るのが待ち遠しい。
今回のポイント
◆顧客に提供しているサービス・機能には、本質サービス(機能)と表層サービス(機能)がある
◆本質サービスは1つでも欠けると顧客の不満を引き起こすが、表層サービスは、あれば満足度を上げる要素になり得る
◆自社が提供するサービスの内、本質機能と表層機能を明確に定義し、それぞれを提供する仕組みを構築する必要がある
【参考資料】
『顧客満足型マーケティングの構図』(嶋口充輝)