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<2年連続賞金王のその先へ> 石川遼 「史上最強の19歳」 ~世界の強豪と比較して~
text by
小川勝Masaru Ogawa
photograph byTaku Miyamoto
posted2010/11/25 07:30
4大メジャー優勝経験者たちと石川遼を比較する。
なぜ、そう言えるのか。それは、現在世界のトップでプレーしている4大メジャーの優勝経験者たちが、現在の石川の年齢の頃、どのような成績であったかを見れば分かる。10代のうちに4大メジャーすべての出場資格を得るということが、いかに例外的なケースであるか分かるし、そこで残した石川の成績が、注目すべきものであることも分かる。
最もよい例は、やはりタイガー・ウッズ(米国)だろう。ウッズが初めて4大メジャーに出場したのは'95年のこと。当時はまだスタンフォード大学の学生で、アマチュアとしてマスターズ、全米オープン、全英オープンに出場した。この時、19歳だったが、マスターズは41位タイ、全米オープンは棄権、そして全英オープンは68位タイ。単純に順位の面から見れば、今年の石川の方が上回っている。
現在、ウッズに続く実績――マスターズ3勝を持つフィル・ミケルソン(米国)の場合は、初めて4大メジャーに出場したのが、まだアマチュアだった'90年の全米オープンで、29位タイ。この時、大会期間中に20歳の誕生日を迎えている。メジャー出場はこの1試合だけだった。順位的には石川の33位タイとほぼ同じだ。
メジャー通算3勝のアーニー・エルス(南ア)はプロに転向した'89年、19歳で初めて全英オープンに出ているが、結果は予選落ち。ほかのメジャー大会には出ていない。
このようにウッズ、ミケルソン、エルスという現役のビッグ3でさえ、初めてメジャー大会に出場した19歳から20歳の頃の成績で、今年の石川を明らかに上回っている選手というのはいないのである。
世界ランキング1位のリー・ウェストウッドの場合。
そもそも、10代で4大メジャーに出場すること自体が簡単なことではない。
例えば、現在世界ランキング1位のリー・ウェストウッド(英国)が初めてのメジャー大会、'95年の全英オープン(96位タイ)に出たのは22歳の時。ウェストウッドはこの2年前にプロ転向していたが、プロ3年目の'95年でも、全英オープン1試合しか出ていないのである。
また、'08年の全英オープンと全米プロの優勝で一躍トップゴルファーとなったパドレイグ・ハリントン(アイルランド)は、プロ2年目の'96年、初メジャーの全英オープンで18位タイという好成績を収めているが、この時、彼はすでに24歳だった。この年はそれ以外の3大会には出ていない。石川のようにプロ3年目で4大会に出ることが、いかに例外的なことか理解できると思う。
その一方で、10代の時期の活躍で知られる選手もいる。代表格は、セルヒオ・ガルシア(スペイン)、ジャスティン・ローズ(英国)、ローリー・マキロイ(北アイルランド)の3人だ。