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助っ人外国人の役割は“触媒作用”?
ボウカーとロペスを生かす原采配。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byHideki Sugiyama
posted2013/08/05 10:30
巨人の下位打線を全く気の抜けないものにしている二人の外国人打者。2年目のボウカーを残留させた原監督の眼力は確かだ。
野球では何かの触媒によって化学反応が起こり、チームがガラッと変貌することがときどきある。
今年の楽天の快進撃などは、まさにそんな化学反応の産物で、その反応を起こす触媒となったのが新加入のアンドリュー・ジョーンズ外野手とケーシー・マギー内野手であることには、誰も異存はないだろう。
メジャー通算434本塁打、実績的には過去に来日した外国人選手の中でもトップクラスのジョーンズは、年齢的な衰えもあり、打率は2割3分2厘(記録は7月末現在、以下同)とあまりパッとはしない。しかし四球が多く出塁率は3割7分9厘をマーク。OPS(出塁率と長打率を足した数字でメジャーでは打者の能力を計る最もポピュラーな指標)が.825(.800以上は優秀。.900以上は一流、1.000を越えると超一流と言われている)と、.800を越えているのはさすがというほかない。
そしてもう一人のマギーは、年齢もまだ30歳と脂の乗り切った選手でメジャーの実績も十分。こちらは打率2割9分6厘と3割近い数字を残し、本塁打もすでに20本を数えるなど、期待通りの活躍でチームを牽引しているわけだ。
二人が加わったことで打線にしっかりとした軸が出来て、得点能力が上がった。それが楽天の化学反応の大きな要素だったのだ。
好調巨人打線の鍵を握る、2人の外国人打者。
「打線というのはスラッガーさえ集めれば得点能力が上がるというものではない。それぞれの役割があって、その役割にそって働ける選手がつながること。そうすることで個々の選手が繋がるわけだからね」
こう語るのは巨人の原辰徳監督だった。
その原監督曰く、実は今年の巨人でも静かな化学反応が起こっていて、その触媒が実は二人の外国人選手であるというのだ。
ジョン・ボウカー外野手とホセ・ロペス内野手。巨人の場合はもともと打線の得点能力が高く、しかも主砲の阿部慎之助捕手や坂本勇人内野手ら生え抜きのスター選手が打線の核を担ってきた。
それだけにこの二人の外国人選手に周囲の目がいくことはあまりないのだが、実は二人が打線に入ることによって、巨人打線は1番から9番(8番)までが、まさに線としてつながり安定した得点力を生み出している、と指揮官は見ているのである。