プロ野球亭日乗BACK NUMBER
助っ人外国人の役割は“触媒作用”?
ボウカーとロペスを生かす原采配。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byHideki Sugiyama
posted2013/08/05 10:30
巨人の下位打線を全く気の抜けないものにしている二人の外国人打者。2年目のボウカーを残留させた原監督の眼力は確かだ。
「ベーブ・ルースだってボール球は打てないぞ」
「ボウカーを残留させたことに驚いた人は多かったと思うけど、僕は2年目はこれぐらいやるという確信はあった。だから球団にお願いして再契約をしてもらったんだ」
昨年はオープン戦で打ちまくり「久々の当たり外国人」と言われたが、フタを明けてみると厳しい内角攻めなど日本の野球への対応ができずに打率1割9分6厘、本塁打はわずか3本という低迷に終わった。
「要は去年はボール球を振りすぎた。だからボーカーには『ベーブ・ルースだってボール球はホームランに出来ないんだぞ』っって口を酸っぱくして言ってきた。それが最後の頃には少しずつ成果も出て、手応えがあったんだよ」
それが日本シリーズでの2本塁打など、ポストシーズンでの活躍だったと原監督は言う。
「ひと言でいえば日本の野球への対応ができるようになった」
本人も今年の変化をこう説明する。
「去年は特に低めのボールの見極めができずに、どうしてもバットが出ていた。今年はそれが止まるようになったのが大きいんだ。ストライクとボールの見極めに自信を持てるようになったから、バットを思い切って振れるようになっている」
日本が最後の場所という覚悟が、順応性の理由。
一方のロペスは楽天入りしたマギー獲得に失敗して、その代役として白羽の矢を立てた選手だったのはよく知られる話だ。
メジャーではシアトル・マリナーズでイチローとチームメイトだったことがあり、「彼から学ぶことは多かった」と語っているが、実は当時の野球の師匠は当時、マリナーズの中心選手だったラウル・イバニェス外野手(今季からマリナーズに復帰)だったという。
「狙い球を絞ってそのボールをじっくり待つ。それがマリナーズでイバニェスに教わった僕のスタイル。色々なボールを追いかけずに、じっくり狙い球が来るまで辛抱して、そのボールを確実に捉える。そのときにミスショットをしなければ、結果はおのずとでるからね」
こう語るロペスの良さを原監督は順応性にあると分析する。
「メジャー3年目からオールスターに選ばれるなど、若くして実績を残したけど、その後に成績が上がらずに苦労した。本人の中では日本が最後の場所というぐらいの気持ちがあるように感じる。だから周囲の意見を素直に聞くし、日本の野球への順応が早かったのは、そういう心の部分が大きいんでしょう」