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史上稀に見る投手偏重の傾向が!
2010年ドラフト指名候補を一挙紹介。
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byTamon Matsuzono
posted2010/10/22 10:30
東京六大学を代表する剛速球右腕の早大・大石達也。阪神、横浜、ソフトバンク、オリックス、楽天などが1位指名候補に挙げており、競合は必至である
全12球団の指名選手をシミュレートしてみたら……。
それでは各球団は誰を1位で獲ればいいのか。球団の狙いではなく、実情を分析しながら、台所事情に合った選手をこちらから推薦する形で名前を挙げていこう。
●巨人
外国人に頼りきった先発陣が崩壊の危機にあるので迷わず即戦力の先発候補を指名したい→澤村拓一(中大)
●中日
数が手薄な先発投手を指名したい。とくにチェンの去就が微妙なので左腕がほしい→大野雄大(佛教大)
●阪神
リリーフ陣に弱さが見えてきたので、将来は藤川の後釜、来年は藤川へのセットアッパーができる人材→大石達也(早大)
●ヤクルト
春先に斎藤佑樹(早大)を指名することを表明している。神宮球場を本拠地とする球団としては当然の選択
●広島
黒田博樹(ドジャース)の復帰が濃厚でも依然として先発の頭数は不足している→澤村拓一(中大)
●横浜
マスコミ報道では守護神の山口俊を先発に回す構想があるとか。それを信じて即戦力の抑え候補→大石達也(早大)
●日本ハム
来年以降、ダルビッシュ有のメジャー移籍が確実なので、その穴埋めができる先発投手→澤村拓一(中大)
●楽天
岩隈久志のメジャー移籍が確実なので、その穴埋めができる先発投手→澤村拓一(中大)
●ソフトバンク
大石への入札が有力視されているが、本当にほしいのは頭数が不足している先発投手→澤村拓一(中大)
●西武
必敗の方程式と言ってもいいリリーフ陣を再生させることができるリリーフ投手→大石達也(早大)
●ロッテ
ヤクルトとともに、春先に斎藤佑樹(早大)への1位入札を表明している。過激な千葉サポーターがさらに熱くなりそう
●オリックス
投手陣の再編でリリーフの層が厚くなり、先発がその分手薄になっている。とくに左腕が手薄→大野雄大(佛教大)
以上をまとめると次のようになる。
澤村……巨人、広島、日本ハム、楽天、ソフトバンク
大石……阪神、横浜、西武
斎藤……ヤクルト、ロッテ
大野……中日、オリックス
ただし、競争率が高くなるとその選手から逃げる伝統がドラフトにはある。
昨年なら菊池雄星(6球団入札)に行かず古川秀一に逃げたオリックス、'07年なら大場翔太(6球団入札)に行かず加藤幹典に逃げたヤクルトがいい例である。そういうところにも目をやって、今年のドラフトを存分に楽しもうと思っている。