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<全米オープンで得た自信> 松山英樹 「いつかメジャーで勝てる日が来る」
text by
柳川悠二Yuji Yanagawa
photograph byTaku Miyamoto
posted2013/06/27 06:01
タフなコースは「苦しいんですけど、楽しかった」。
「フェアウェーにボールが置ければらくにプレーできるし、ミスればすぐにボギーがくる。こういうタフなセッティングで戦うことは、苦しいんですけど、楽しかったです」
これまで海を渡った日本人ゴルファーの誰もが直面してきた圧倒的な飛距離(パワー)の差は、身長180cm、体重80kgと体格に恵まれた松山にとってはさほど気になる問題ではない。4日間を通じて、ドライバーが真っ直ぐ飛びさえすれば、同伴競技者を引き離すシーンが目立った。
「ただ、さらに飛距離を伸ばすことによって、セカンドが楽に打てるようになる。今後も飛距離にはこだわりたいですね。それにアプローチなどの技の種類も増やさないといけないと思います。あとは……英語かな(笑)」
全米オープンで約1600万円の賞金を手にし、10位に入ったことで来年の出場権も獲得した。世界ランクはいよいよ50位内に入り、今後はメジャー大会だけでなく、PGAツアーの大会にスポンサー推薦で参加する機会も増えていくはずだ。
全英、全米プロの結果次第では来年のPGAツアーのシード権獲得も。
現在、松山が目論むのは、来年のPGAツアーのシード権獲得だろう。
今後、参戦を予定している7月の全英オープンや8月の全米プロなどで、PGAマネーランク125位以内の賞金を手にすることができれば、昨年の石川のようにツアーカードを手にすることがほぼ可能となる。ちなみに昨季125位はおよそ65万ドルだ。
もちろん、石川不在の日本男子ツアーの“救世主”として期待を集める松山が、わずか1年で日本男子ツアーを“卒業”するプランなど明言することはない。だが、松山は今、アメリカ転戦を見据えて専属キャディやトレーナーらと、移動中の車内などで英語のドリルに励んでいるという。
所属する東北福祉大の阿部靖彦監督は、今後は日本ツアーを欠場してアメリカの大会に積極的に参戦する可能性を示唆し、続けた。
「もしシード権が手に入れば、英樹は来年からアメリカに行く。それを狙ってはいるけど、試合数が限られているし、条件は厳しい。そう簡単には手に入らないと思いますよ」