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<全米オープンで得た自信> 松山英樹 「いつかメジャーで勝てる日が来る」
text by
柳川悠二Yuji Yanagawa
photograph byTaku Miyamoto
posted2013/06/27 06:01
海外四大メジャーを「全部勝ちたい」と語る心の強さ。
「身体を大きくした目的は、すべてを安定させたかったから。ただ飛ばすだけなら細い身体でも飛ばせると思うんですよ。飛距離と同時に精度を求めるためには、しっかりした土台を作らないといけない。それに長いシーズンを戦う体力も重要ですからね。アマチュア時代は、ただ勝てばいいと考えていた。でも優勝のことばかり頭にあると、どうしてもミスが多くなって、大ケガするゴルフになってしまう。プロになるからには、毎週トップテンに入ることを目標にやっていきたい」
プロ転向に向け唯一掲げた目標は、マスターズ、全米、全英、全米プロという海外四大メジャーのいずれかで勝つことだった。
「できることなら全部勝ちたい。これまで日本人でメジャーを勝った選手はいません。なぜできないか? 日本人は勝てないと思っているから勝てないんじゃないですかね」
グランドスラム宣言は、4月2日に行なったプロ転向会見でも口にした。だが、それに続けた言葉は、意外なものだった。
「マスターズのローアマ獲得と、2年連続予選通過は、遼も経験していないこと。もちろん、遼は自分が経験したことのないことをたくさん経験しているので、どちらが優れているかという問題ではないと思いますが、本当の勝負は、どっちが先にメジャーで勝つことができるかだと思います。遼より先にメジャーで勝つことができれば、ようやく遼に追いついたと思えるかもしれない」
いつしか松山にとって石川は越えなければならない存在に昇華していた。
松山の最大の強みは〈失敗を必ず糧とし、同じ轍を踏まない〉点。
だからこそ、石川不在の日本男子ツアーは自身を成長に導く舞台ぐらいにしか考えていないのかもしれない。
ダブルボギーを打ったとしても、大叩きした1日があったとしても、最終日には帳尻を合わせるように優勝争いに絡んでゆく。
〈失敗を必ず糧とし、同じ轍を踏まない〉
それが松山の最大の強さだろう。開幕戦でドライバーが左右に大きく曲がると、第2戦ではドライバーを“手にしない”ことで対処し、優勝を引き寄せた。