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スターが集う全米OPは恰好の“学校”。
21歳の松山英樹、大胆不敵の向学心。 

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桂川洋一

桂川洋一Yoichi Katsuragawa

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photograph byZUMA Press/AFLO

posted2013/06/20 10:30

スターが集う全米OPは恰好の“学校”。21歳の松山英樹、大胆不敵の向学心。<Number Web> photograph by ZUMA Press/AFLO

最終日に大会ベストスコアを叩きだした松山。帰国後「世界のトップがまわっても、67というスコアしか出てないなかで、自分もそのスコアで回れたことはすごく自信になった」と語った。

世界のトップ選手との手合わせを躊躇せずに願い出る。

 現地入りしたのは、大会前週の金曜日。すぐに難関コースに出て、試合に向けての準備を開始していた。ところが開幕3日前の月曜日に予定されていた、マスターズ王者アダム・スコットとのラウンドが悪天候のためキャンセルとなってしまう。「天気には勝てません」とサバサバとした口調で言ったものの、やはり口惜しそうな姿が印象的であった。しかしコースを去る間際、松山は翌日火曜日の練習の相手を見つけたのである。

 選手が指定練習日にラウンドを行うには、出場登録エリアにあるシートに名前を書き込んでいくのがルール。早いもの順に好みのスタート時刻を選び、それぞれ記名する。当日になってパーティに飛び入り参加することも可能だが、藤田のように、予め一緒にプレーする選手と時間を示し合わせておくケースが一般的といえる。

 しかし松山はシートを見渡すと、「お、空いてる。イケるかなあ」と、軽いノリで、空欄になっていたバッバ・ワトソンの名前の隣に名前を書き込んだのだ。相手はスコットの前年にマスターズを制した飛ばし屋レフティ。世界的プレーヤーとの練習を先方にはアポなしで自ら決めてきてしまった。

「スター選手たちは自分に無いものを持っている」

 スーパースターとの共演とあれば、普通は物怖じしてしまうもの。それは怪物と称される21歳も同じだった。

「そりゃ、ビビるっすよ。(自分も)人間っすよ」

 メジャー大会は練習日ですらお祭り状態。1日およそ1万人のギャラリーが来場する。ほとんどの日本ツアーの最終日よりもその数は多いのだ。松山も「練習ラウンドの方が、下手なプレーができないから緊張する」と語っていた。ましてやワトソンのようなスーパースターと一緒に回れば、おのずと大ギャラリーを引き連れることになる。「あいつは一体、誰だ?」と奇怪な視線も浴びるだろう。

 しかし彼は、「そういう選手たちは自分に無いものを持っているし、プレーの引き出しも多い」と言い切った。「それにもし試合で同組になっても、試合中は(自分の)プレーに集中しているから、逆に言えば練習ラウンドの時の方が一緒に回った選手をよく見られる」

【次ページ】 敵の力を知り、実力差を計ることが目標への最短距離。

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