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輝きを取り戻した岡崎慎司は
コンフェデ杯でゴールを奪えるか?
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byTakuya Sugiyama
posted2013/06/13 10:30
「諦めないとか気持ちや意識の部分はあるけど、やっぱり最後まで走ったからこそパスが来ると……」と、ゴールを決めたイラク戦後にコメントした岡崎。
日本は、どこまでやれるのか。
6月15日に開幕するコンフェデレーションズカップで、日本代表はブラジル、イタリア、メキシコと同じグループに入った。
組み合わせ前にポット(シード権)を設定するW杯本大会ではありえないような強豪ばかりが集まったグループだ。世界一を目指すと公言する選手もいる現在の日本代表の実力を測るのに、これほどふさわしい大会もないだろう。
相手にゲームを支配されることもあるだろう。大歓声の後押しがあるホームとは異なり、アウェーで戦う厳しさを味わうこともあるだろう。いずれにせよ、少ないチャンスをしっかり決めることが必要になる。
岡崎慎司は日本代表史上4位、現役の代表選手の中では最多となる32ゴールを決めてきた(6月12日現在)。岡崎は冬のブラジルで輝けるだろうか。日本を救うゴールを決めることが出来るのだろうか。
不本意なシーズンの中、輝きを放ったバイエルン戦。
今シーズン、所属するシュツットガルトではリーグ戦の25試合で1ゴールに終わった。チームが一時は残留争いに巻き込まれたことや、解任のうわさも含めてラバディア監督の選手起用に疑問が投げかけられたことの影響も、もちろん大きい。ただ、岡崎が周囲を、そして自らも納得させられるようなパフォーマンスを見せられなかったのは明らかだ。だから――。
今シーズンの岡崎はまるっきりダメだったね。
そんな一言で片づけられたのかもしれない、あの試合がなければ。
6月1日、シュツットガルトは今シーズン最後の試合として、ドイツ杯の決勝を戦った。相手は1週間前にCLで優勝したばかりのバイエルンだった。彼らがその守備力でヨーロッパのトップに立ったのは、多くの選手・関係者が認めるところだ。この試合で後半17分にトップ下として交代出場した岡崎は、世界一の守備陣を相手に確かな存在感を放った。
後半26分には左からのクロスに素早く反応すると、相手の左SBアラバをブロックして、シュツットガルトの右サイドにスペースを作る。そこに入り込んだハルニクがフリーで放ったヘディングシュートのおぜん立てをした。
直後にハルニクのクロスをフリーで合わせ、CKの流れの中からこぼれ球に反応しシュートを放った。これはポストに阻まれたが、こぼれ球をハルニクが押し込み、シュツットガルトは2-3と猛烈な追い上げを見せて、CL王者バイエルンを慌てさせた。その他にも、強引なシュートから相手のハンドを誘うが、これは主審に見逃され、後半ロスタイムにもフリーになりヘディングシュートを放ったが、これは右に外れてしまった。
相手が世界王者だったことを考えれば、今シーズンの岡崎が見せたパフォーマンスの中でもトップ3に入る試合だったと言っても過言ではない。