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ザックジャパンに必要な次の手とは?
柿谷、山口、柴崎らの「残り1年」。 

text by

細江克弥

細江克弥Katsuya Hosoe

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photograph byDaiju Kitamura/AFLO SPORT

posted2013/06/07 10:31

ザックジャパンに必要な次の手とは?柿谷、山口、柴崎らの「残り1年」。<Number Web> photograph by Daiju Kitamura/AFLO SPORT

ゴールを決めて喜ぶ柿谷曜一朗(中央)と山口螢(右)。5月下旬のA代表選出に洩れた柿谷は「呼ばれなかったということは、まだまだやってこと。またJリーグで頑張ります」とコメント。

“本田圭佑”を体感できる日本代表メンバーの幸福。

 どの時期を境にそうしたメンタリティーを備えたのかについては分からないが、おそらくVVVフェンロでもCSKAモスクワでも起きていたであろうその現象が、コミュニケーションが円滑な日本代表で起こらないはずがない。

 だから、チームメートとして“本田圭佑”を体感できる選手は、ある意味ではラッキーであるとさえ思う。日本人が世界に挑むにあたって持つべき“日本人らしさ”という武器を、彼はリーダーとして引き出してくれる。今野泰幸が本田を「あこがれ」と評したことが一つの“ネタ”として報道されているが、その言葉が本心から出ていることもよく分かる。もちろんザッケローニも例外ではない。彼もまた、本田の存在を通じて日本人選手が持つ本質的なポテンシャルを知ることができる。

 長友佑都や岡崎慎司がそうであるように、本田に触発され、突き動かされるように前に進もうとしている選手は少なくない。表現の違いこそあれ、おそらくチームの誰もが少なからぬポジティブな影響を受けていることだろう。

顔ぶれがほぼ固定化されたザックジャパンの強みと弱点。

 だから逆に、日本代表というチームに属していない選手がそれを体感できないことがもどかしい。

 日本代表レベルの実力を有しながら、ザッケローニからの声が掛からない選手たち――。その基準は観る人によって様々だが、いずれにしても、彼らにとっての残り1年はあまりにも短い。本田の言う「まだ1年もある」という解釈は、あくまで本田自身とチームメートにしか通用しない。そこに、現日本代表の抱える問題がある。

 ザッケローニはメンバーを固定して戦ってきた。

 チーム力を高めるという点で、それは大きな効果を発揮するだろう。しかし一方で、 “日本代表レベル”の実力を有しながら、その舞台に立てないタレントが増え続けるという問題もある。

 日本代表というチームは、サッカー選手にとって目標であり、モチベーションでなければならない。日本代表という肩書きは、その選手の能力を1ランクも2ランクも引き上げる舞台でなければならない。日の丸を背負うことで急成長を遂げる選手は少なくない。もちろんその逆もしかりだが、舞台を大きくすることは選手の可能性を広げるために不可欠な要素だ。もしその選手に“日本代表レベル”の実力があるのなら、舞台を用意できないことがあまりにも惜しい。腕を掴んでぐいぐいと引っ張ってくれる本田がいる今の日本代表なら、なおさらである。

【次ページ】 7月の東アジア杯で“国内組”の現在地が判明する。

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