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快足ウインガー・ウォルコット、
点取り屋としての天賦の才能が開花! 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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photograph byAction Images/AFLO

posted2010/09/02 10:30

快足ウインガー・ウォルコット、点取り屋としての天賦の才能が開花!<Number Web> photograph by Action Images/AFLO

8月21日のブラックプール戦で自身初のハットトリックを挙げたウォルコット。南アW杯後初の親善試合ではイングランド代表にも復帰し、さらなる飛躍が期待される

 アーセナルの14番が、アウトサイドからペナルティエリア内へと疾走する。置き去りにされる相手DF。ゴール下隅に流し込まれるボール。

 ティエリ・アンリ在籍時代のアーセナルでは毎週のように見られた光景だ。

 しかし、この得点シーンは8月21日のプレミアリーグ今季第2節でのものだ。アーセナルが6-0でブラックプールを下した一戦での58分、14番を背負ったテオ・ウォルコットは、自身この試合3ゴール目となるチーム5点目をあげた。

 プレミアで自身初のハットトリックを達成したウォルコットには、ストライカーへの“再転向”を望む声が一気に高まった。当日、筆者はウィガン対チェルシーの会場にいた。試合前、筆者の後列でラジオの解説をしていたスタン・コリモア(元イングランド代表FW)は、一足先に終了したアーセナル戦の結果を耳にすると、「彼はゴールが計算できるタイプのストライカーだ。代表でウェイン・ルーニーとコンビを組ませろ!」と捲くし立てた。

傑出した突破力も判断力の鈍さのせいで宝の持ち腐れに?

 ユース時代、ウォルコットは主にストライカーとして活躍していた。この日の1ゴール目をダイレクトで決めたように、フィニッシュに関する「技術」は以前から定評がある。

 だが、4年前にサウサンプトン(3部)から引き抜かれたアーセナルでは、100mを10秒3の快足を買われて、もっぱらウインガーとして起用されている。ブラックプール戦でも4-2-3-1の2列目右サイドを任されていた。

 皮肉にも、このウインガー転向はウォルコットに欠けている部分を際立たせた。最後の詰めの部分での「判断力」だ。せっかく目の覚めるようなドリブルでサイドを突破しても、闇雲なクロスや強引なシュートなどで周囲の期待を裏切ることが少なくなかった。

 ウォルコットに否定的な論者は、この日のハットトリックを含むMVP級のパフォーマンスを目撃しても意見を変えていない。その代表格にアラン・ハンセンがいる。以前から「選手としての頭脳が疑わしい」とウォルコットに辛口の元CBは、解説を務めるBBCテレビのダイジェスト番組で、「守備の甘い相手DF陣から(ゴール前で)考える時間を与えられると、逆に判断ミスをおかす」とブラックプール戦でのウォルコットを評した。

 そうはいっても、この非難は酷というものだろう。

 たしかに、パスとシュートの選択を誤った場面は1、2度あったが、ウォルコットの「頭脳」は誤答を上回る数の正解を導き出していたのだから。先制ゴールを決めた10分後の22分には、余裕でボックス内に進入した後、チップキックで絶妙のクロスをアンドレイ・アルシャビンに届けている。マルアン・シャマフがチャンスをものにしていれば2度のアシストも記録できていた。

 またウォルコットは、頭で考える「判断力」よりも身につけることが難しいかもしれない「直感」を持っている。

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テオ・ウォルコット
アーセナル

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