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メジャーは甲子園のココを見ている!
スカウトが測る投手のある能力とは? 

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生島淳

生島淳Jun Ikushima

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photograph byHideki Sugiyama

posted2010/08/24 10:30

メジャーは甲子園のココを見ている!スカウトが測る投手のある能力とは?<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

松坂のK/9値がふたケタにも達していない理由とは?

 少しばかり意外だったのは、松坂大輔のK/9がふたケタに到達していないことだった。高校時代の松坂には三振を積み重ねていくイメージもあったのだが、三振も取れるが、打たせて取るのがうまかったのかもしれない。横浜高校は優勝を狙うマネジメントをするので、三振で球数を増やすよりも、打たせて取った方が効率的だと理解していたのではないだろうか。

 最近では斎藤佑樹が春よりも夏にK/9の数字をアップさせており、これは投手として大いに成長した証である。

 なぜなら、夏は地方予選から勝ち抜かなければならず、投手の消耗度合いが激しくなってしまい、春よりも夏のK/9の数字が落ちるのが一般的なのである。斎藤の場合、4個近く数値を上げているのは球威もさることながら、要所、要所で三振を取る投球術をマスターしていたと当時の投球を振り返ると思い当たる。

 ライバルの田中将大については、リリーフでの登板が多かった2年の夏の方がK/9の数字がいい。しかし3年の夏も立派な数字である。

 気になったのは菊池雄星だ。昨年の春はK/9が9個を超えていたが、夏には下落。ケガの具合が相当にひどかったことが数字からもうかがえる。

 こうした不安要素を日本のスカウトがどのように分析していたかは、とても興味のあるところだ。

では2010年夏の甲子園の球児を見てみると……。

 今年の夏、準々決勝まで勝ちあがったチームの中で気になる投手のK/9を調べてみると、興南の島袋が準々決勝終了時点ではふたケタをマークし、最終的には9.3。中川(成田)が疲れのせいか、準決勝では三振の数が減ったのとは対照的に、猛暑の中での連投にもかかわらず、試合終盤で三振を取れる体力、集中力には脱帽。トルネード投法を可能にする体の柔軟性、体幹の強さが光る。

 ただし、彼の場合は見逃しの三振の割合が多い(特に3回戦の仙台育英戦)。それは別の視点から見れば、コントロールがいいということでもあるが。

 心配なのは東海大相模の一二三である。横手投げに変えて、「打たせて取る」投球にモデルチェンジした。土岐商戦では1安打完封したが、K/9は5.1。この数字では、私と話したメジャーのスカウトの気は引けないだろう……。横手投げへの変更が、彼の将来にどんな影響を及ぼすだろうか。K/9で見る限り、厳しいと言わざるを得ないが、プロのスカウトが彼の体格や肩、腕の強さなどをどう見るのだろう? それとも打者に専念させるのか……。

 今後、日本のスカウトたちが彼らに対してどんな評価をするのか、とても興味深いところだ。

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