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ラウール、ロッベンが説く、
急成長するブンデスリーガの魅力。 

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ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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posted2010/08/16 10:30

ラウール、ロッベンが説く、急成長するブンデスリーガの魅力。<Number Web> photograph by Getty Images

シャルケと2年契約を交わしたラウール。プレシーズンマッチで得点を挙げるなど、新天地での活躍をファンに印象づけた

 ひょっとしたら、今季はブンデスリーガ史上もっとも熾烈な戦いが繰り広げられるかもしれない。

 今季の開幕にあたり、ブンデスリーガを運営するドイツサッカーリーグのマネージャーであるザイファート氏は高らかに宣言した。

「これまで、ブンデスリーガはプレミアリーグの醜い弟分のように見られてきた。しかし、今や世界に冠たるリーグとなっている」

 チャンピオンズリーグ(CL)やヨーロッパリーグ(EL)の国別の出場枠は、UEFAが選定するUEFAの過去5シーズンの国別ランキングポイント合計に基づいて決められているのはご存じだろうか。

 4シーズン前、ドイツの稼ぎ出したポイントは、イングランド、スペイン、イタリアの3大リーグはおろか、フランスにも届かない6位(5位はルーマニア!)だった。ところが、そこから毎シーズンのように上昇を続け、過去3シーズンはすべてイタリアを上回っている。

 圧巻だったのは、昨シーズン。CLで決勝に進んだバイエルンを筆頭に、ELを含めたヨーロッパカップ戦でドイツのクラブが躍進を果たした。終わってみれば、イングランドやスペインを抑えてヨーロッパトップのポイントを稼ぎだしたのだ。

 過去5シーズンのポイントの合計ではドイツが64.207ポイント、イタリアは64.338ポイント。来季にはドイツとイタリアの順位が逆転し、CLの出場枠はドイツが4、イタリアが3(プレーオフから参加するチームも含む)となることが確実と見られている。

 例えば、昨季のCL準々決勝でマンチェスター・ユナイテッドを下した際に、バイエルンのファン・ハール監督は、顔を紅潮させて、イングランドメディアに断言した。

「ブンデスリーガのレベルが低い? そんなことはない!! いまやスペインに次いで2番目にレベルが高いリーグだと私は考えている」

欧州他リーグの名選手が続々ブンデスへ集まりつつある。

 今年の1月にはファンニステルローイがイングランド・プレミアリーグからのオファーを断って、ハンブルガーSVに加わり、6月にはバラックがチェルシーからレバークーゼンに復帰し、7月にはラウールがレアル・マドリーからシャルケに移籍してきた。どの選手も移籍の決め手となったのは、「ブンデスリーガのレベルの高さ」だったと語っている。ここ数週間にわたり連日のようにメディアを賑わしているラウールは、近年はブンデスリーガに注目していたことを明かした。

「この数年間、僕はブンデスリーガの試合をTVでかなり見てきたんだ。今のブンデスリーガのレベルはかなり高いと思う。それは、ここ数年のヨーロッパのカップ戦(CLとEL)の結果に表れているしね。ドイツ代表があれほど魅力的なサッカーを見せることが出来たのも、そのためだろう」

 スペインのクラブへの移籍に揺れていたリベリーがバイエルンとの契約を2015年まで延長したのも、ブンデスリーガのレベルが上がってきていることを証明している。実は、リベリーが去就問題に揺れている中、チェルシーでプレミアリーグでの戦いを、レアル・マドリーでリーガ・エスパニョーラのレベルを体験してきたロッベンが、必死に残留するよう口説いていたという。

「スペインになんか行くことないよ。バイエルンに残ることで、CLのタイトルを目指せるんだ!!」

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