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フェラーリの侍エンジニア、浜島裕英。
16年前のスペインGPでの忘れえぬ涙。 

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尾張正博

尾張正博Masahiro Owari

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photograph byMasahiro Owari

posted2013/05/17 10:30

フェラーリの侍エンジニア、浜島裕英。16年前のスペインGPでの忘れえぬ涙。<Number Web> photograph by Masahiro Owari

“ビークル&タイヤ・インタラクション・ディベロップ・ディレクター”として働いている浜島。悪評高いピレリタイヤを相手に、シャシーとのバランスを考える、今季最も注目される部署で陣頭指揮を執る。

ギリギリの状況での浜島の英断で、アロンソが優勝!

 この日、唯一のピンチは49周目だった。走行中のマシンから送られてくるテレメトリーの中で、右リアタイヤの内圧のデータが突然落ち始めたのである。その値はわずかで、走行しているアロンソのペースもほとんど変わらない。予定していた最後のピットストップまで、あと2周。ここで入れれば、最後のスティントは2周長くなる。

 それでも、浜島はアロンソをピットストップさせた。

 パンクだと思ってピットストップさせて交換したタイヤを見て驚いた。トレッドの表面が一部剥離を起こしていたのである。

「あのまま走っていたら、あと1周で完全に剥離してバーストしていたかもしれません」(浜島)

 ペナルティ時も含めて、合計82回のピットストップが行われた今年のスペインGP。多くのドライバーがタイヤに悩まされ、レース後、不満を述べていた。しかし、パンクの危機に見舞われながらも、浜島はタイヤに対する不満を一切、口にしなかった。

 16年前に涙を流したスペインGP。その表彰台の下で、アロンソの勝利を祝う浜島。その顔には涙はなかった。

 浜島の表情には「難しいタイヤをうまく使いこなし、未然にトラブルを防ぐことができた」という充実感が感じられた。

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