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リオ五輪占う、競泳日本選手権開幕。
1994年生まれの“黄金世代”に注目!
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byKyodo News
posted2013/04/07 08:00
昨年11月の競泳W杯東京大会の記者会見に出席した萩野公介、山口観弘、瀬戸大也(後列左から)。
「松田(丈志)さんに勝ててうれしいです」
瀬戸大地は、昨年の日本選手権では体調不良が調整に響くなどして400m個人メドレーで3位に終わり、ロンドン五輪出場を逃していた。
しかし萩野のロンドンでの活躍に奮起。昨秋のワールドカップの6大会では、400m個人メドレーですべて優勝したほか、バタフライや平泳ぎなど多種目に出場し続け、表彰台に上った回数は20回を超えた。
さらに昨年12月に行なわれた世界短水路選手権の400m個人メドレーでも金メダルを獲得。今年2月の日本短水路選手権では、専門外の200mバタフライで松田丈志に勝ち、「タイムには満足していませんが、松田さんに勝ててうれしいです」と自信を深めた。
200m平泳ぎ世界記録の山口もリオ五輪の主軸になる。
そしてもう一人、平泳ぎの山口観弘を忘れるわけにはいかない。
昨年8月の高校総体200mで、ロンドン五輪なら3位に相当する好記録で優勝。そして9月には世界新記録をマークし、世界の競泳界を驚かせた選手である。
山口は、小学生の頃から専門誌や映像で泳ぎ方を自ら学ぼうとする探究心と「ロンドンに行かなかったから伸びたと思います」という言葉が象徴する負けん気の強さが特徴にあげられる。一方で、堅実さも持ち合わせ、非常にバランス感覚のある選手だ。日本選手権の目標を「世界選手権の代表に入ること」と言うのもその表れだ。
萩野と山口は東洋大学に進み、平井伯昌コーチの指導を受けている。北島康介、中村礼子、寺川綾らの実績を持つ指導者のもとで、どのような成長ぶりを見せるかも楽しみなところだ。
スポーツ界では、「黄金世代」という言葉が使われるように、優れた選手が同世代で一挙に現れることがある。そろって1994年生まれの萩野、瀬戸、山口は、リオデジャネイロ五輪で日本の主軸になる、いや、世界でもトップクラスを争っていく可能性を秘める。そして彼らの活躍が刺激となり、他の同世代の選手をも引き上げる存在になっていくかもしれない。