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今こそC大阪以来の課題を克服する!
清武弘嗣の強い危機感とゴール宣言。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byTakuya Sugiyama
posted2013/04/05 10:31
ヨルダン戦、清武は自身のゴールこそ無かったものの、香川のゴールのアシストに加え、内田のPK獲得につながるパスを出すなど、決定機を何度も演出した。
ブンデスで見せたヨルダン戦の再現のようなシーン。
前半は2点をリードされ、ほとんどチャンスがなかった。後半、ワンボランチにしてシステムを変更すると、前への活力が増した。「前半は足にボールがつかなった」という清武だったが、1-2のビハインドで迎えた後半21分、渾身のFKから同点ゴールをアシストした。
肝心のシュートシーンはなかなか見られなかったが、ラストチャンスは終了間際にやってきた。
カウンターから右にマルクス・フォイルナーが走り、清武はペナルティボックスに入って行った。ファーサイドにいたフリーの清武にボールが渡った。GKは出て来たが、シュートは打てた。そのまま打つかと思った刹那、清武は中央のFWにパスを出した。まるで、ヨルダン戦の再現のようなシーンだった。
なぜ、シュートを打たなかったのか。
「いやー打てたと思うけど、もう自分の体がいっぱいいっぱいだった。尻は痛いし(前半、相手の膝が左臀部に入った)、足もつっていた。足に力が入らず、踏ん張り切れないのでシュートを打てなかった。打ちたかったんですけど、厳しかったっす」
清武は、そう言って苦笑いをした。
「でも、シュートを打とうという意識は前よりも強くなった。これからも、そのシュートへの意識を強く持って、ゴールを決めていければ、俺、オーストラリア戦に出て、ゴールを決められると思うんです。そうして結果出して、代表に生き残っていきたい。やっぱりブラジルに行きたいんで」
清武が見せる代表定着への意欲と「香川越え」への決意表明。
代表デビューとなった2年前の日韓戦の時は、人見知りの性格のせいか、誰よりも早く食事会場に行き、誰よりも早く食べ終え、元チームメイトで先輩の西川周作の部屋に入り浸った。
早くチーム(セレッソ)に帰りたいと泣き言を言っていた選手が、今や代表に生き残ることを考え、自らの課題を克服すべくプレーしている。代表への欲がドンドン増しているのだろう。
「大分の時、U-15で初めて代表に入って、その時、代表ってええなぁって思った。今もその気持ちでいるし、だからこそ代表に入ってプレーしたい。そのためには、ゴール、ゴールって自分に言い聞かせて、数字を出していくしかないっすね」
スタメンの椅子を完全に確保するには、数字を上げ、自分の先を行く香川を越えなければならない。清武のゴール宣言は、代表のスタメン定着への強い意欲の表れだが、同時に、それは「香川越え」への決意表明でもある。