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ソフトバンクでの6年間を糧に――。
多村仁志が古巣DeNAにもたらすもの。 

text by

田口元義

田口元義Genki Taguchi

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2013/03/22 10:32

ソフトバンクでの6年間を糧に――。多村仁志が古巣DeNAにもたらすもの。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

「ホークスでの経験を生かして、優勝を目指して頑張っていきたい」とDeNA復帰での抱負を語っている多村。ホークスでの優勝を経験したことが、どう生きるか?

 横浜時代の'04年からソフトバンクでも昨年までの9年間、背負っていた背番号「6」は、多村仁志のアイデンティティだった。

 それだけに、DeNAとチーム名を変えた古巣に復帰した彼が選んだ「52」に、いささか違和感を抱く人も少なくないはず。

「今の6番は松本(啓二朗)が付けていますからね。たまたま52番が空いていたんで、『これは初心に戻れ』ってことなんだなと」

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 再出発の意味を込め、プロ1年目から5年間身に付けていた背番号を選び、多村は今シーズンへ臨む。

 その初心は、早くも結果となって表れる。

 オープン戦の初戦となった2月23日のオリックス戦でいきなり2安打と結果を残すと、3月14日のロッテ戦では代打グランドスラム。17日現在で、22打数9安打。打率は4割9厘、5打点、1本塁打と、かつて「ハマの長距離砲」と呼ばれた男は、これまで順調な仕上がりを見せている。

熾烈な外野手争いだが「チームが勝つために何をするか」を大切に。

 荒波翔、ラミレス、そして新加入のモーガンなど、今年のDeNAは外野手争いが熾烈だけに、もちろん結果は欲しい。しかし、多村は数字としての目標を設けてはいない。

 その理由を本人はこう話していた。

「まずは、チームが勝つために何をするかですよね。“個人の成績が上がったから勝つ”。僕はそうじゃないと思うんですよ。最終的にチームがいい順位で終わることができた時に、自分の成績を振り返りたいんで」

 その言葉は、裏を返せばチームプレーに徹することを宣言しているようなもの。

 あくまでもチームのために――。多村の体に流れるその血は、紛れもなくソフトバンクでの6年間で養われたものだった。

「いい修行をさせてもらいました」

 多村はこの期間をそう語る。

【次ページ】 王貞治の下で多村に浸透した「強者のエキス」とは?

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