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スペインリーグ初の日本人オーナー、
坂本圭介が夢見る「和製欧州クラブ」。 

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木崎伸也

木崎伸也Shinya Kizaki

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posted2013/03/22 10:30

スペインリーグ初の日本人オーナー、坂本圭介が夢見る「和製欧州クラブ」。<Number Web> photograph by Shinya Kizaki

今は赤坂にオフィスを構える坂本圭介。バルセロナやレアル・マドリーの育成キャンプを誘致する(株)イープラスユーの代表取締役でもある。

日本の子供たちを受け入れる体制づくりがスタート。

 坂本は『スタレントネットワークス』の現地社長としての収入と、株式の売却によるキャピタルゲインで大きな収入を得ていた。その資金をサバデルの株式取得に当て、2012年7月、日本人初のスペインのクラブのオーナーが誕生したのだった。なぜかスペインでは、“日本人投資家グループ”と勘違いされてしまったが――。

 坂本はまだ“外様”のオーナーとして、今はまだクラブのビジネスの仕組みを分析している段階だ。大きな改革は行なってない。だが、最大の目標のひとつである育成プロジェクトはすでに始動させている。

「私たちはサバデルで、日本の子供たちを受け入れる体制を作っているところです。クラブに通う子供を持つスペイン人家庭にホームステイしてもらいます。そうすれば練習場の送り迎えも問題ありません。その一方で、バルサとチェルシーと育成世代の選手のやり取りに関する業務提携も締結しました。この提携を通じて、日本の子供たちがサバデルの育成を経て、提携クラブとの交流によりプロになる機会をさらに広げることができます。スペインに18歳までに5年間住めば、外国人枠に関係なくプレーできる権利が得られます。この仕組みを利用して、将来、サバデルで5、6人の日本人選手がプレーする時代が来てもおかしくないですよ」

クラブの広告塔として、公の場に立つ覚悟を決めた坂本。

 もちろん育成だけでなく、即戦力の補強にも動いている。新オーナーになってあまり日がなかったため、今季のチーム強化はすべてスペイン人スタッフに任せているが、来季は日本人選手獲得に向けて、日本人強化スタッフと共にスペイン人スタッフと緊密な打ち合わせを重ねている。スペイン人スタッフは指宿の過去の活躍もあり、日本人選手を高く評価している。スペイン2部の外国人枠はわずか2人だが、日本人選手のために1つ空けている状況だ。

 また、1部昇格も具体的な目標になってきた。

 現在サバデルは10位で、昇格プレーオフに進出できる6位以内から勝ち点差5離れているが、まだ可能性がなくなったわけではない。着実にクラブの力はついてきている。

 実はこれまで、坂本はインタビューの申し込みはすべて断ってきた。オーナーとして前面に立つことに抵抗があったからだ。だがプロサッカー界では、オーナーはクラブの広告塔でもある。サバデルの発展のために、積極的に公の場に立つ覚悟を決めた。

【次ページ】 「業界は違っても、ビジネスの基本は同じ」

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