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打撃改造で大勝負に出た中田翔。
WBC初優勝時の福留に重なる雄姿。 

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田口元義

田口元義Genki Taguchi

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photograph byDaiju Kitamura/AFLO SPORT

posted2013/03/06 06:02

打撃改造で大勝負に出た中田翔。WBC初優勝時の福留に重なる雄姿。<Number Web> photograph by Daiju Kitamura/AFLO SPORT

「しっかりボールを捉えた時は、楽に飛んでいきますから。当分はこのフォームで感じをつかみたい」と急造ながら手応えを感じている中田。

「なんでも試す」大砲はフォームが固まらなかった。

 彼は昨年、こんなことを言っていた。

「毎年のように安定した数字を残しているバッターでも多少はあるだろうけど、いきなり大きく変えることはないと思います。僕がフォームを大幅に修正するのは、それだけ自分の形が見つかっていないということだし、実際、結果も残していないんで。怖がる理由がないというか、『なんでも試してやれ』って感じではいますけどね」

 振り返ればここ数年、中田は打撃フォームが固まらず苦しんでいた。

 2011年は、ノーステップ気味の「がに股打法」だった。

 目線が少し低くなることでボールを「線」として捉えることができる。当時の中田は、この形に好感触を抱いていたが、それは「もろ刃の剣」でもあった。ノーステップに近いため下半身に過度の負担がのしかかる。当時の自己最多となる18本塁打をマークしたものの、最後までこの形を貫くことができなかった。

「がに股打法」を完全に固めるため、オフの自主トレなどでは徹底的に下半身を鍛えた。ところが、開幕から24打席無安打など絶不調。5月27、28日の巨人との交流戦で、中田はこのフォームを封印する。

昨シーズン、ノーステップ打法を封印して結果を残したが……。

 この時のことを、彼はこう回想していた。

「ボールが見やすかったんで、『ノーステップでもええんちゃうか?』と思っていたんですけど、しっかりと捉えてもフェンス手前で打球が失速してしまうことが多くて。だから、一番ボールに力を伝えやすいフォームをヘッドコーチ(福良淳一)と相談しながら、『もう一度、シンプルに足を上げて1、2、3のタイミングで打つことから始めてみよう』ということで変えたんですけど」

 5月28日時点で、打率は1割6分5厘、4本塁打。そこから、最終的に2割3分9厘、24本塁打と、飛躍的に数字を伸ばすことができたが、中田自身、結果には満足していなかった。

「これもまだ、完全な形になっていないんで、早く自分のフォームを固められれば、とは思っていますけどね」

 昨年オフ、自分に言い聞かせるように、中田はそう話していた。

 そして到達したのが、一流打者への登竜門とも言える“割れ”である。

【次ページ】 中田と同じく、WBCで福留孝介が施したフォーム修正。

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#福留孝介

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