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今年は“エース候補”から脱皮する!
中日・伊藤準規、背番号18の重み。
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byNaoya Sanuki
posted2013/02/23 08:01
クライマックスシリーズ・ファイナルステージ第2戦での伊藤。140キロ台後半の直球と鋭く落ちるフォークで巨人打線を翻弄し続けた。
「エース候補」と呼ばれ続けた4年間だったが……。
18番のプレッシャーに押しつぶされたわけではない。ただ、プロで過ごした4年間を振り返ると、チームやファンの期待に応えられたかといえば、そうではなかった。
2008年にドラフト2位指名を受けてから、「将来のエース候補」と呼ばれ続けた。
高卒1年目にして一軍デビュー。2年目の10年には、オープン戦3試合で2勝1敗、防御率1.50と抜群の安定感を示した。この時点で、一軍での通算投球回数が1イニングのため新人王の資格は有していた。当時、巨人の長野久義や阪神の二神一人などが有力選手とされていたが、伊藤もまた、そのひとりとして挙げられていた。
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「隠れ新人王候補」。大ブレークを嘱望された伊藤は、解説者からこのような評価を受けていたものだ。
「実戦に入るとスイッチが入るのか、いいピッチングをする。可能性はあるよね」
今中慎二(現中日投手コーチ)がそう語ると、阿波野秀幸(現巨人二軍投手コーチ)も「ストレートは速い上に角度もある。将来性をすごく感じるピッチャー。ローテーションに入れれば、新人王もあるかもしれない」と称賛していた。
だが、現実とはうまく事が運ばないもの。
4月4日の阪神戦、8回を4安打1失点に抑える好投でプロ初勝利をマーク。幸先良いスタートを切った伊藤だったが、その後に右ひじを故障。一軍での登板はわずか3試合に終わった。
ひじ、肩の故障から復調して、飛躍のきっかけをつかんだ昨季。
'11年は、右肩痛の影響などで本調子とはいかず2勝止まり。昨季も同じ箇所の違和感で出遅れ、シーズンの大半を棒に振った。
しかし、「エース候補」と呼ばれた男は、大器の片鱗を徐々に見せつつあった。
終盤に一軍復帰を果たすと、9月22日の阪神戦では7回途中無失点でシーズン初勝利。巨人とのクライマックスシリーズ・ファイナルステージ第2戦では、2回から6回までパーフェクト投球を披露するなど、8回途中2失点の快投を演じた。