南ア・ワールドカップ通信BACK NUMBER
日本は戦った。チャンスはあった。
アンチ・フットボールではなかった!
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byGetty Images
posted2010/06/30 10:50
どれほど素晴らしい戦いでも敗北の結果は変わらない。
PK戦まで持ち込んだのは評価できる。南アフリカ仕様とでも言うべき戦略のもとで、選手たちは自己犠牲を厭わずに戦い抜いた。我々にとっても誇りである。
ただ、どれほど素晴らしい戦いを見せたとしても、負けたという結果は変わらない。ブラジル、アルゼンチン、ドイツ、スペインといった強豪が顔を揃えた準々決勝は、日本の痕跡を南アフリカから消し去ってしまうだろう。残念だが、それが現実である。
繰り返すが、チャンスはあったのだ。
パラグアイのコンディションはいまひとつだったことを考えても(彼らの動きは決して良くなかった!)、そもそも他国に比べて対戦相手に恵まれたことを含めても、日本はベスト8入りの黄金の好機をつかんでいた。
ああ、だからこそ!
日本の戦いを肯定する気持ちが湧き上がり、すぐに「でも」とか「しかし」といった逆説の思いが追いかけてくる。プレトリアはそろそろ早朝になりつつあるが、身体は熱を持ったままである。