南ア・ワールドカップ通信BACK NUMBER
グループリーグで苦しみ目が覚めた。
真のスペイン・サッカーはこれからだ!
text by
中嶋亨Toru Nakajima
photograph byBob Thomas/Getty Images
posted2010/06/28 13:10
セスクとシルバは、スペイン代表に今こそ必要な選手。
そうなると選手間の距離を整えながらボールを動かし、一瞬のスキを突いてリズムチェンジできる選手の起用が活きそうだ。
ここで名前が挙がってくるのが、セスクとシルバだ。
セスクはチリ戦で右足首を負傷したシャビ・アロンソの代わりに先発出場する可能性もある。またシルバは右サイドでの起点としてトーレスに代わり出場する機会があるかもしれない。
トーレスの爆発力はどんな相手の最終ラインにとっても脅威だが、まだ本来のものからは程遠い。相手陣内で試合を展開する際には、狭いスペースでのプレーを得意とする選手が欲しい。シャビ、イニエスタと共に“クアトロ・フゴーネス(4人の創造者)”と称され、'08年ユーロ優勝に貢献したセスクとシルバがいよいよ本領を発揮する時がきたのかもしれない。
決勝Tでは引いて守る相手はいなくなるのが好都合。
このまま勝ち上がっていくと、スペイン相手でも引いて守るのではなく、当然のように攻撃を仕掛けてくる強いチームと当たることになる。スイスのようにゴール前に貼りつくようなチームは、もういないのだ。そして、その状況こそがスペインのパスサッカーにとってはうってつけとなる。スイス戦での敗北は“怪我の功名”となり、今のチームにはより積極的に仕掛けていく姿勢も浸透し始めている。
大会前に周囲が期待していたスペインがようやく姿を見せるのは、ポルトガルとの“イベリア・ダービー”からということだ。