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「松田直樹メモリアル」が燃えた!!
中田、中山らが感じた“つながり”。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byTsutomu Takasu
posted2013/01/26 08:02
この日の試合では、2006年に現役引退した中田英寿が素晴らしい体のキレを見せていた。イベントとしての試合という枠を超え、出場した全選手、全観客が共に熱く燃えた日となった。
安永が語る“命のつながり”と“仲間のつながり”。
安永はイベントの前、ファンに向かってこのように言っていた。
「去年のメモリアルマッチからこの1年、“つながり”というテーマを持って取り組んできました。まずひとつが“命のつながり”。そしてもうひとつが“仲間のつながり”」だと――。
仲間のつながりとは言っても、「Naoki Friends」という名目で集まってただカタチだけサッカーをやればいい、というわけではない。松田はミニゲームだろうが何だろうが、とにかく負けるのが嫌いな男だった。だから、この日の“仲間”たちも、故人の思いが乗りうつったかのように、時間が経つにつれて徐々に熱くなっていった。
チームで数少ない現役組となった佐藤由紀彦も、どこかうれしそうだった。
「みんな熱くなって、段々とスイッチが入っていきましたよね。松田直樹という男は、場をわきまえてサッカーやることを嫌うタイプ。おとなしくやっていたら自分の温度を2度ぐらい高くして“お前らも同じように2度上げろ”って言うと思うんです。もし変わらない温度でやっていたら、猛烈に怒ると思いますよ(笑)。でもきょうのメンバーなんかはその部分でも直樹と共感できていて、サッカーが好きだし、直樹と同じ感覚で戦えるというか。そこを味わうことができて、楽しくサッカーをやれましたね」
プレーを通じてサッカーに対する松田の思いを伝え続けていく。
ただ人が集まるだけのつながりではなく、“松田を感じながら”一緒になってプレーすることこそが安永の言う「仲間のつながり」を指しているのかもしれない。
試合前に行われる、AEDを使った救急医療講習。
そしてもうひとつ“命のつながり”にも触れておきたい。
今回、試合前にピッチで行なわれていたのがAED(自動体外式除細動器)講習会。「松田メモリアル」は心臓マッサージとAEDによる心肺蘇生の講習を展開する「PUSHプロジェクト」に参加しており、AEDの使用法や心臓マッサージのやり方などが分かりやすくレクチャーされた。
松田が亡くなって以降、JFLでもAED常備が義務付けられてはいるが、「松田メモリアル」はサッカー界だけでなく広範囲にわたるAEDの普及、心臓マッサージの重要性を呼びかける活動に力を入れている。