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川島永嗣 「最少失点の手応えと未練」 ~岡田ジャパンのラッキーボーイ~
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byShinichiro Kaneko(KAZ Photography)
posted2010/06/24 18:00
スナイデルの放ったシュートはブレながら川島を襲った。
その自信を糧に挑んだのが、オランダ戦だった。前半からボールを支配されたものの、守備陣の集中力は途切れなかった。前線の3人にスナイデルが絡んでくるオランダの攻撃には迫力を感じたが、「何もさせていない、やれる」という自信が時間を追うごとに膨らんでいった。さらに、カメルーン戦の時とは異なる手応えも感じていた。
「あの時はベッタリ引いて守るという感じだったけど、今回はボールを回されながらも、チームとして、攻撃の意識を強く持って前に出られていた。そこはカメルーン戦よりもさらに成長できた部分ですね。やっぱりいい守備ができていれば、いい攻撃ができる。このままの調子で行けば、絶対にチャンスが来る、それまでは絶対にゼロで我慢したい、そう思っていました」
その矢先の失点だった。
スナイデルの放ったシュートは、ブレながら川島を襲った。
強豪オランダに最少失点も満足するそぶりは見せず。
「弾道は、自分の30センチ手前までは見えていたんです。かなり強いインパクトのボールだったんで、キャッチするのではなく、ゴールの外に弾こうというイメージでした。でも、実際のボールは想像以上に強くて、弾いたつもりが内に入ってしまった。自分の感覚よりボール何個分ズレたのかは分からないけど、予測できていただけに、止めないといけないシュートでした。いい試合をしていたから、ほんと悔しいです」
大きな目を細め、そう言った。
ただ、負けたとはいえ、次に繋がる貢献をした。終了間際のスーパーセーブを含め、再三の好守備で、強豪オランダを最少失点に抑えたのだ。それでも川島は、最後まで満足するそぶりを見せなかった。
「う~ん、でも、あのひとつだけ止められなかったなぁ」
なかなか頼もしい男である。