欧州サムライ戦記BACK NUMBER
酒井高徳が渡欧して早1年――。
一流選手へ化ける、その時が近い!
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph bypicture alliance/AFLO
posted2012/12/29 08:01
途中交代する酒井(21歳)を送る内田篤人(24歳)。同じポジションの選手として、ブンデスリーガで最高のプレーを続けるライバルであり、同志である。
サイドバックはチームの調子に左右されるものだが……。
「調子が上がらず、自分も失点に絡んだりしていたので、非常に悔しい思いをしていましたね」
その後はチームの調子も上がり、シーズン前には足りなかった準備を補うべく練習を重ねた結果として酒井のコンディションも上がってきたため、ピッチの上でも存分に躍動できるようになった。
ただ……酒井はそこで考えた。
チームの状態に左右されずに、つねに良いパフォーマンスを見せることはできないのだろうか、と。
シャルケで活躍する内田篤人がたびたび語っていることだが、サイドバックというのは、良くも悪くもチームの出来に左右されるものだ。だから、チームの調子が悪く自分のパフォーマンスが十分に発揮できなかったとしても、悲観する必要はないのかもしれない。
にもかかわらず、酒井はそこに抗おうとしている。
チームの調子が悪くても、サイドバックとして良いプレーを見せたい。あるいは、チームの調子が悪いときこそ、サイドバックという試合の行方に影響を及ぼすのが難しいポジションの自分がチームに活力を与えたい、と。
リーグとEL、そして日本代表。ハードスケジュールの中で考えたこと。
そして、もう一つ、今シーズンだからこそ感じられたことがあった。それは、ハードな試合スケジュールをどう乗り切っていくかということ。
具体的に言うと、ヨーロッパリーグ(EL)との掛け持ちの問題だ。
週末にリーグ戦を行い、木曜日にはELの試合を戦う。スケジュールはタイトで、息つく暇もなくなる。さらに酒井は代替招集をふくめて、今シーズンの前半戦では日本代表としての活動も多かった。移動距離も、出場試合数も昨シーズンから一気に増えたのである。
「昨シーズンはELがなかったんで、1週間おきの試合で常にフレッシュな状態で試合に臨めていました。それが、リーグ戦での良いパフォーマンスを継続して出せた理由だとも思っています。でも、今シーズンは中2日とか中1日とかで試合をやることも普通にあったので。そんな中で1試合ごとに自分のパフォーマンスが変わっていくようだと(シーズンを通しての良い成績は)難しいと思います」