青春GOLF ――石川遼に密着! BACK NUMBER

予選2位通過という“自己紹介”で、
世界は石川遼の名を胸に刻んだ。 

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雨宮圭吾

雨宮圭吾Keigo Amemiya

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posted2010/06/23 10:30

予選2位通過という“自己紹介”で、世界は石川遼の名を胸に刻んだ。<Number Web> photograph by KYODO

共に予選ラウンドからプレーをしたトム・ワトソンと歩く石川遼。まさにゴルフ界の伝説とも言える選手が18歳を絶賛した

“Hello,America!”

 軽やかな英語のスピーチとともに石川遼が米国ゴルフファンの前に現れたのは、昨年2月のノーザントラスト・オープンだった。その後も断続的に米ツアーには出場してきたものの、日本の若きスターは海の向こうでは大きなインパクトを残せないままでいた。

 そうした意味で6月20日まで行われていた全米オープンは、初めて自らのポテンシャルを示し、きちんと自己紹介のできた大会となったはずだ。

大会最年少V記録更新の可能性に海外メディアが騒然!

 舞台は世界でも屈指の美しさを誇るペブルビーチ・ゴルフリンクス。

 世界一過酷と言われる全米オープンのタフなセッティングにも負けることなく、初出場の石川は初日に2打差の4位と好スタートを切った。

 2日目もしぶとく丁寧に一打一打を紡いで18ホールを戦い終えると、アーニー・エルスやフィル・ミケルソンといったメジャーチャンピオンたちと肩を並べる2打差の2位にまで順位を上げていた。

 メジャーの舞台はラッキーだけでは生き残れない。ポスト・タイガーの筆頭と認められている同組のローリー・マキロイが厳しいコースに耐えかねて予選落ちしたことも石川の活躍をより深く印象づけた。

 2日目のラウンド後には海外メディアの取材も受け、AP通信は石川の記事を世界に配信した。99年前に19歳で優勝を飾ったジョン・マクダーモットの名前とともに、大会最年少V記録更新の可能性が公式サイトなどでも話題となったのである。

老雄トム・ワトソンをも魅了した石川のパッティング。

 大きな注目を浴びた石川にとって最高のスポークスマンとなってくれたのは老雄のトム・ワトソンだった。

 孫とおじいちゃんほどに年の離れた60歳のワトソンは、予選2日間だけでなく練習日にも石川と一緒にラウンドし、そのプレーぶり、特にパッティングに魅了されていた。米メディアからの質問には、こんな風に褒めちぎった。

「何よりもリョウのパッティングが気に入ったよ。怖いもの知らずで、私が18歳の頃を思い出させてくれた。カップの奥に当てて真ん中から沈めてくるし、オーバーしてもしっかりと返しのパットを決められる。亀の甲羅のようなグリーンもリョウのストロークには関係なかった。どうしたら彼のようにストロークできるのか一生懸命に見させてもらったよ。昔は私もあんな風に打てていたはずなんだからね」

 確かに予選ラウンドを通じて石川のパッティングは冴えていた。2月に同じコースで行われたAT&Tペブルビーチ・ナショナルプロアマでは、芝目の強いポアナ芝に対応できずにショートパットを簡単に外していたのが、今大会では微妙な距離のパーパットを面白いように沈めていった。

【次ページ】 ボールの芯を打ち抜く練習の成果を予選で発揮した。

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