野次馬ライトスタンドBACK NUMBER
監督、選手の言葉で徹底検証。
セよりパが強い「本当の理由」。
text by
村瀬秀信Hidenobu Murase
photograph byNaoya Sanuki
posted2010/06/22 12:10
日本代表級のエースを揃えるパ・リーグは2連戦に強い。
さらに、交流戦の2連戦という日程も、パ・リーグ有利に働いたと見る向きも。
「(パ・リーグは)好投手が揃っているだけに、2連戦ずつの試合日程でセ・リーグは苦しむだろうと思っていた」(巨人・原監督)
「パの先発は3、4番手は極端に落ちる。3試合制ならセが上に行くかも」(オリックス・岡田監督)
西武の涌井、岸、楽天の岩隈、田中、ソフトバンク杉内、和田など、先発の1、2番手に日本代表クラスの能力が高い投手がいるパ・リーグに対し、セ・リーグには広島・前田健太以外で、“絶対的なエース”と呼べる存在は少ない。
そのことは打撃にも影響を及ぼしているとの興味深い声もある。
驚異の打撃力を誇るパ・リーグ選手が打撃10傑に8人も!
打撃10傑ではパ・リーグの選手8人が上位独占。交流戦史上最高打率.415のソフトバンク・多村仁志をはじめ、24試合制で新記録となる39安打を放った日本ハムの田中賢介、最多タイの11本塁打を放った楽天・山崎などが次々に記録を樹立。
さらには、6月7日のヤクルト戦でロッテが、広島戦でオリックスが、同日にプロ野球新記録の10者連続安打をマークするという神懸かり的な記録を達成。MVPのT-岡田は得点圏打率.588とチャンスに打ちまくり、投手の涌井は横浜戦で猛打賞と、まぁ、とにかくパの打者は打ちまくったという印象である。
驚異の打撃力を見せつけられたセ・リーグの選手からは、新聞を通じてこんなコメントが。
「パの打者はスイングがいいし、平気で右方向にホームランを打ってくる。圧倒された部分もあった」(横浜・内川)
「パは3、4、5番だけではなく、他の打者も思い切りがいいので、まっすぐが良くないと抑えられない」(ヤクルト・相川)
パ・リーグの打者から続出した「球場が狭すぎる!」の声。
それとは逆に、パ・リーグの打者からは、「セ・リーグの球場、せまっ!」という声が。
楽天・山崎は横浜スタジアムでホームランを放ち「球場が狭い!」と一喝したと思えば、東京ドームでホームラン後にはベンチ前で「狭い狭い狭いっ!」とハイタッチ。
同じく楽天の中村紀も東京ドームでホームラン後、「ミートするだけでいい。Kスタならレフトの前のほう。この球場はチャンスホールや!」と豪快に笑った。
かつて「こんなリトルリーグみたいな狭い球場で野球ができるか」と吐き捨てて帰国した、元巨人の投手ダン・ミセリも真っ青の言い放ちっぷりである。
このセ・パ両リーグの野球を経験してきた2人のスラッガーの言葉は、パ・リーグの打者がいかに普段から過酷な条件で試合をしているか、ということの現れなのだろう。