痛快☆ブブゼラ通りBACK NUMBER
32カ国中唯一のイスラム国家チーム、
アルジェリア代表の狂乱を見よ!
text by
熊崎敬Takashi Kumazaki
photograph byFIFA via Getty Images
posted2010/06/18 14:00
イスラムの国で、男女を問わず「砂漠の狐」を応援中!!
この調子で「アル・エジ戦争」を書いていたら、行数がいくらあっても足りない。ちょっと端折らせていただこう。
最終戦でエジプトが勝ち、勝ち点、得失点で並んだ両国は、中立地スーダンでのプレイオフで雌雄を決することになった。この「天下分け目の関が原」に、アルジェリアは勝った。スーダンでも観客席で暴力行為があったそうだが、とにもかくにも24年ぶりの本大会出場を成し遂げた(ああ、長かった)。
さて、日本人から見ればクレイジーにしか思えないアルジェリアの狂乱ぶりは、当然、本大会になっても続いている。
24年ぶりの本大会出場ということに加え、アルジェリアは32カ国中唯一のイスラム国。そのことが国民を高揚させている。
ワールドカップ予選から人々は「砂漠の狐」にのめり込み、いままでサッカーには無関心だった女性たち(特に年配の女性)まで、テレビに齧りついて応援しているという。
国を挙げての大応援団にもかかわらず初戦を落とす……。
ちなみに犬猿の仲であるエジプトでは、アルジェリアへの敵意が和らいできたらしい。今年1月のアフリカ選手権で、彼らはアルジェリアを準決勝で退け、大会3連覇を成し遂げた。そのことによって、ある程度憎しみが薄らいだのだろう。
24年ぶりの大舞台に立つ代表チームは、多方面からサポートされている。
グループステージ初戦のスロベニア戦では、2000人ものサポーターが駆けつけたが、そのうち500人は懸賞の当選者らしく「アル・ジャジーラ」が渡航費を負担した。'80年代の英雄たちも南アフリカを訪れており、こちらも渡航費や滞在費は政府が負担。国を立てた功績に報いた。
また南アフリカには500人の同胞が暮らしており、床屋を営むひとりが無料で選手たちの調髪をしたというニュースも報じられた。
だが、これだけの期待にもかかわらず、アルジェリアはスロベニア戦を落としてしまった。