ボールキープを意識し、追加点を許さない守備的戦術へ。

　ポゼッションの時間を長くしてゲームを膠着させ、チャンスがあれば仕掛けるのは当初からのゲームプランだった。

　そこからさらに現実路線へシフトし、追加点を許さないボールキープの色合いが強まる。それでもいくつかのピンチを迎えたが、1－4のまま試合を終わらせることができた。

　シャワーを浴びた選手たちは、複雑な表情を浮かべていた。

「後半の立ち上がりに出た自分としては、ゲームを壊してしまったのですごく反省する部分があります。あそこで失点しなければ、違った展開になったと思うので」

　こう話したのは小宮山友祐だ。

　2失点目に絡んだ事実が、彼の口ぶりを重くしていた。1週間前のゲームに続いて好セーブを見せた川原永光も、「どんなに止めたとしても、4失点もしてしまったら……」と自分を責めた。

4年前、ブラジル相手に1－12と惨敗した時とは違う！

　取材エリアに出てきた選手たちは、もっと攻めたかったという意思をのぞかせていた。

「自分たちとしては、ちょっと不甲斐ないというか（攻めに）いきたかったですけど。監督も話しているように、次のポルトガル戦でしっかり勝負をかけます」という村上のコメントは、チーム全体に共通するものだったと言っていい。

　それだけに、第2戦の重要性は誰もが認識する。小宮山が言う。

「4年前の前回大会（ブラジル）は、初戦でブラジルに1－12で負けて、チームがバラバラになりかけた。同じ失敗をしないように、みんなでコミュニケーションをとって盛り上げていきたい」

　4年前の大敗を経験していないカズも、その試合の話を持ち出した。試合後のロッカールームで、小宮山ら経験者から「同じ状況にならないようにしよう」との声が上がったという。

「ブラジルに負けたあとはチームの雰囲気が悪くなったそうで、そういうことは絶対に避けようという話が出ましたね。モヤモヤとした気持ちもあるかもしれないけど、下を向いている選手はいないし、僕も周りの選手を盛り上げていきたい。それが自分の役目でもありますから」

【次ページ】　ブラジル戦がこの結果で良かったと思えるように……。